岡目八目

2016囲碁タイトル戦回顧

井山 史上初の七冠

(2016.12.20読売新聞掲載)

 井山裕太棋聖が名人、本因坊、王座、天元、棋聖、十段と合わせ七大タイトルを独占、ついに史上初の七冠制覇を達成した。囲碁史を飾る金字塔。秋に名人を失い六冠に後退したが、その強さに揺るぎはない。

 ▷第40期棋聖戦七番勝負
  井山裕太 4 - 0 山下敬吾
 ▷第41期名人戦七番勝負
  高尾紳路 4 - 3 井山裕太
 ▷第71期本因坊戦七番勝負
  井山裕太 4 - 1 高尾紳路
 ▷第64期王座戦五番勝負
  井山裕太 3 - 0 余正麒
 ▷第42期天元戦五番勝負
  井山裕太 3 - 1 一力遼
 ▷第41期碁聖戦五番勝負
  井山裕太 3 - 0 村川大介
 ▷第54期十段戦五番勝負
  井山裕太 3 - 1 伊田篤史

 棋聖戦の挑戦者には3年連続で山下が名乗りをあげた。第1局から井山が圧倒、4連勝で4連覇を決めた。年明けの棋聖戦では河野臨九段を迎え撃つ。防衛に成功すれば5連覇で名誉棋聖の称号を獲得する。

 棋聖防衛で六冠として迎えた十段戦。「負けを覚悟した」挑戦者決定戦を大逆転でものにし、七冠制覇に向けて残る最後のタイトルへの挑戦を決めた。周囲の期待は重圧でもあったろう。しかし冷静さを失うことなく、見事にタイトルを奪取。七冠の夢を現実のものとした。名人を失って、「肩の荷が下りた思い。より自分らしく打ちたい」と語った。

 3月、人工知能「アルファ碁」と韓国の李世乭九段の対戦が世界を沸かせた。5戦し、アルファ碁の4勝1敗。「人間に追いつくにはあと20年かかる」とされていた人工知能の急速な進化。「勝負とはなにか」ということを改めて考える時代になったのかもしれない。

 女流棋戦は謝依旻三冠に藤沢里菜三段が雪辱、昨年奪われた女流本因坊を奪還した。

 ▷第35期女流本因坊戦
  藤沢里菜 3 - 1 謝依旻
 ▷第28期女流名人戦
  謝依旻 2 - 1 青木喜久代
 ▷第19期女流棋聖戦
  謝依旻 2 - 0 吉原由香里

 女流棋界に新風が吹き始めたようだ。