第27期 棋聖戦 挑戦手合七番勝負
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1/16・17 | 山下七段 白番6目半勝ち | |
1/29・30 | 山下七段 黒番中押し勝ち | |
2/5・6 | 王棋聖 黒番4目半勝ち | |
2/19・20 | 山下七段 黒番中押し勝ち | |
2/26・27 | 山下七段 白番1目半勝ち | |
第6局 | 3/12・13 | - |
第7局 | 3/19・20 | - |
第一人者に挑む新星 第27期棋聖戦 16日から七番勝負
4連覇を目指す王立誠棋聖(44)に山下敬吾7段(24)が挑む囲碁界の最高峰、第27期棋聖戦七番勝負がいよいよ始まる。第1局は今月16、17日、東京千代田区のパレスホテルで行われる。第一人者の風格が備わってきた王棋聖と、いま一番勢いに乗る新星、山下7段の注目の対戦。小林覚九段(43)と片岡聡九段(44)に見どころを聞いた。
◆小林覚九段と片岡聡九段が分析
白星スタートなら立誠か - 小林
混戦になれば山下に勝機 - 片岡
――最初に今期リーグ戦を振り返ってみたいと思います。まず、柳時熏七段が5勝0敗で突っ走ったAリーグから
片岡「柳七段の完勝というイメージです」
小林「どの碁もがっちり勝ち切っていた」
片岡「羽根天元も3連勝と好発進でしたが、後半失速してしまいました」
――依田名人が前半で柳七段、羽根天元に連敗し、挑戦者争いから脱落したのは意外でした。
片岡「2連敗スタートでは、やはりだめですね」
小林「調子もあまりよくなかったのでは」
――次にBリーグです。混戦で、山下七段が大逆転で挑戦者決定戦に進みました。
小林「第2戦の張栩戦に敗れましたが、その後の踏ん張りがすごかった」
――張七段は最終戦で趙王座に勝てば、決定戦進出でしたが。
片岡「らしくない負け方でした。いままで見たことがありません」
小林「直前に行われた韓国での棋戦で半目負けし、そのショックと疲れが相当残っていたのでは。いつも苦しくても頑張って逆転しているのに、あっさり土俵を割ってしまった」
――趙治勲さんは最後に張さんに勝って残留を決めました。
片岡「ただ、最終局を迎えて1勝3敗というのは意外でした」
小林「最低でも挑戦者争いに絡んでくる人だけにね」
――挑戦者決定戦は山下・柳戦になりました。
小林「山下さんが粘って逆転に持ち込んだという声が多かった」
片岡「柳さんは中盤に入ってだいぶ損をしたようです」
――山下さんの碁の印象は
小林「思い切りがいい。形勢が悪くなっても自分で局面をつくり、打開する力があります。布石で第1着を天元に打つなどの極端さはなくなりました」
片岡「もうやるつもりはないようです。ただ、七番勝負では1局ぐらいあるかもしれませんが」
――24歳という挑戦者は過去最年少。2日制の七番勝負も初めてです。
小林「心配ないでしょう。鍛え方が違う。楽しめるぐらいの感触があると思う」
片岡「2日目の後半は疲れが出るものですが、若いのでそれもないでしょう」
――今年の成績は8割近い勝率です。
片岡「彼の場合、まわりがそれで納得してしまうのがすごいところです」
――一方、王立誠棋聖は昨年負け越しです。
片岡「あまり調子が良さそうに見えません」
小林「本人もそう言っています。ただ、私はこの成績は参考にならないと思う。七番勝負は全然別のものです。立誠さんは棋聖戦にすべてを合わせているでしょう」
――王棋聖、山下七段はこれまで山下さんの勝ち越しです。
片岡「対局数が少なく、そのデータでどうこうは言えませんが、印象としては立誠さんが打ちにくそうに見えます」
小林「最近の負け方を見ると、特にそうですね」
――七番勝負の展開をどう予想しますか。
片岡「立誠さんが先に稼いで、山下さんが追い込む流れになるでしょう」
小林「やはり立誠さんが黒なら走るでしょう。薄みを山下さんがどうとがめるか」
片岡「立誠さんの持ち味はスピードです。混戦に持ち込めば山下さんのチャンスが広がるのでは」
小林「山下さんはとがめ方が厳しいですから。立誠さんが山下さんと打ちにくくしているのも、そこのところでしょう」
片岡「しかし立誠さんはちゃんと対策立ててきますよ」
小林「どっちがはっきり勝ち、と言える碁にはなかなかなりません」
――それでは勝負の行方をズバリ予想して下さい。
小林「出だしが大切です。山下さんが2勝すれば相当いけます。最初に立誠さんが星をとれば、経験者の強みが出てきます」
片岡「やはり出だしがポイントですが、立誠さんが山下さんを打ちにくそうにしていることから、私は山下さんに乗りましょう」
小林「2人とも局面をあっさりさせません。単調な手は決して打たない。少し悪いと思えば、微妙なところ、微妙なところと打ってきます。相当面白い勝負になることは間違いありません」
◆王立誠棋聖 「一局一局粘り強く」
いま絶好調の、最強の挑戦者が出てきたと思っています。山下さんは手厚く打って攻めるタイプで力が強く、集中力もすごい。これまで負け越しており、大変な七番勝負になると覚悟しています。
調子はまずまず。昨年は負け越しましたが、こんなもんかな、とも思っています。棋聖、十段の防衛戦で力を使い果たした感じもあるし、相手は強敵ばかりでしたから。ただ、ちょっと粘りが足りないかなという反省もあり、これから七番勝負に向けて、ベストコンディションに持っていくようにしたい。
今期は4連覇がかかっていますが、自信は全然ありません。防衛のことは考えず、負けないように一局一局粘り強く全力で打つつもりです。
◇1958年11月7日、台湾生まれ。71年来日、72年初段、88年九段。95年、王座戦で初タイトル。98年から王座3連覇。00年趙治勲棋聖を下して棋聖となり、現在3連覇中。01年から十段2連覇中。昨年の成績は23勝26敗。
◆山下敬吾七段 「自分の碁しっかりと」
子どもの時からの夢だった舞台に立つことができ、とてもうれしい。
リーグ戦で最初に1敗したので、残留することを目標にしていたのですが、最終戦に勝って挑戦者決定戦に出ることを知り、びっくりした。運が良かった。
自分の碁はぐちゃぐちゃの力碁です。布石は駄目で、それをごちゃごちゃやってごまかしている。成績の割にはいつも難しい碁になっています。
王棋聖は中盤が強い。いいと思っていてもいつの間にか勝負形に持ち込まれているので、中盤の戦いで負けないように、しっかりと自分の碁を打ちたい。
2日制の対局は初めてなので、勝手が分かりませんが、体調管理をきっちりとして、大きな舞台を楽しみたいと思っています。
◇1978年9月6日、北海道旭川市生まれ。小学校2年で全国少年少女大会で優勝し、93年初段、00年七段。98年から新人王戦4連覇。00年、小林光一碁聖を下して初タイトルを獲得。名人、本因坊リーグに在籍。昨年の成績は61勝17敗。
棋聖戦 過去の勝敗
第27期棋聖戦 七番勝負 日程
対局日 | 対局場 | |
第1局 | 1月16・17日 | 東京都千代田区 「パレスホテル」 |
第2局 | 1月29・30日 | 福島市飯坂町 「摺上亭大烏」 |
第3局 | 2月5・6日 | 滋賀県大津市 「琵琶湖ホテル」 |
第4局 | 2月19・20日 | 宮崎市 「宮崎観光ホテル」 |
第5局 | 2月26・27日 | 富山県高岡市 雨晴温泉「磯はなび」 |
第6局 | 3月12・13日 | 静岡県小山町 「経団連ゲストハウス」 |
第7局 | 3月19・20日 | 神奈川県・箱根大涌谷 「冠峰楼」 |
2人の対戦成績(肩書は当時)
棋 戦 | 勝ち | 内容 | 負け | |
00年 | 本因坊戦 予選 | 山下六段 | 白4目半 | 王 棋聖 |
01年 | 桐山杯 本戦 | 王 棋聖 | 白中押し | 山下碁聖 |
02年 | 名人戦 リーグ | 山下七段 | 黒中押し | 王 棋聖 |
02年 | 本因坊戦 予選 | 山下七段 | 黒7目半 | 王 棋聖 |
03年 | 名人戦 リーグ | 山下七段 | 白1目半 | 王 棋聖 |
王棋聖の1勝4敗 |
Aリーグ
序列 | 順位 | 棋士名 | 柳 | 羽根 | 三村 | 石田 | 依田 | 中小野田 | 成績 |
1 | 1 | 柳時熏 七段 |
- | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 5-0 |
2 | 2 | 羽根直樹 天元 |
● | - | ● | ○ | ○ | ○ | 3-2 |
3 | 落 | 三村智保 九段 |
● | ○ | - | ● | ● | ● | 1-4 |
4 | 4 | 石田芳夫 九段 |
● | ● | ○ | - | ● | ○ | 2-3 |
5 | 3 | 依田紀基 名人 |
● | ● | ○ | ○ | - | ○ | 3-2 |
5 | 落 | 中小野田智己 八段 |
● | ● | ○ | ● | ● | - | 1-4 |
Bリーグ
序列 | 順位 | 棋士名 | 趙治 | 張栩 | 淡路 | 趙善 | 覚 | 山下 | 成績 |
1 | 4 | 趙治勲 九段 |
- | ○ | ○ | ● | ● | ● | 2-3 |
2 | 2 | 張栩 七段 |
● | - | ● | ○ | ○ | ○ | 3-2 |
3 | 落 | 淡路修三 九段 |
● | ○ | - | ● | ● | ● | 1-4 |
4 | 落 | 趙善津 九段 |
○ | ● | ○ | - | ● | ● | 2-3 |
5 | 3 | 小林覚 九段 |
○ | ● | ○ | ○ | - | ● | 3-2 |
5 | 1 | 山下敬吾 七段 |
○ | ● | ○ | ○ | ○ | - | 4-1 |