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1/14・15 | 山下棋聖 黒番1目半勝ち | |
1/28・29 | 山下棋聖 白番半目勝ち | |
2/4・5 | 依田九段 白番半目勝ち | |
2/19・20 | 依田九段 黒番中押し勝ち | |
2/25・26 | 山下棋聖 黒番5目半勝ち | |
3/11・12 | 山下棋聖 白番2目半勝ち | |
第7局 | 3/18・19 | - |
「気合十分 同郷対決」 ~ 第33期棋聖戦 七番勝負 1月14日から
囲碁の最高峰、第33期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)は14日、札幌市での第1局で開幕する。4連覇を狙う山下敬吾棋聖(30)に対するのは、棋聖挑戦2度目の依田紀基九段(42)。北海道出身同士の対決となる。山下棋聖が持ち前の戦闘力を発揮するのか、依田九段のバランス感覚がさえるのか。注目の対戦を小林光一九段(56)と小林覚九段(49)の元棋聖2人に展望してもらった。
◆『依田 大技でさばきに出る』 小林光一
◆『碁への純粋さ 山下の強み』 小林覚
――まずリーグ戦を振り返りたい。Aリーグは新鋭、井山裕太八段、Bリーグは依田九段が優勝。挑戦者決定戦は依田九段が貫禄を見せた。
光一 井山八段の5連勝はすごい。名人戦挑戦者となって相当自信を持ったのだろう。
覚 すでに第一人者の雰囲気が出ている。依田九段は黒星スタートで、力が入り過ぎなかったのが好結果につながった。
光一 最終戦に張栩名人との直接対局が残っていたのが大きかった。張名人、井山八段を連破した際、名人になった時よりうれしかった、と話していたという。それだけ必死の思いで打ったのだろう。挑戦者決定戦は、地を先行し、しのいで勝つ依田流の勝ち方だった。
――山下棋聖、依田九段の最近の調子をどう見るか。
光一 2人とも調子がいいとは言えない。しかし今は多少、調子が悪いくらいがいい。七番勝負の時にピークになればいいのだから。
覚 両者とも決め手を欠いている感じがする。
光一 私も棋聖戦の前はどん底の時があった。しかし七番勝負が始まれば変わるものだ。
――2人の対戦成績はほぼ互角だが、ここ10局は山下棋聖が9勝1敗と大きく勝ち越している。
光一 そのことに気付かないから依田九段は挑戦者になれたのだろう。
――2人は2003年の名人戦で七番勝負を戦っている。
光一 依田九段のペースで終わったシリーズだった。圧倒した感じがある。
覚 依田九段のいいところだけが出た。あの敗戦で、山下棋聖は碁を再構築したところがある。それが今回の勝負をより興味深いものにする。
――山下棋聖の持ち味は。
覚 戦いの碁。読みを入れて戦端を開き、形勢を築いていく。
光一 子どものころから戦いの碁だった。徐々に地に辛くなっているが、そうしないと強い相手には勝てないからだ。
――依田九段は。
覚 分かりやすい碁形から逃げ切りを図る。光一九段に似ていると思う。
光一 自分も似ていると思っている。考えていることが分かりやすく、1手1手に理論付けがある。自分と違うとすれば、大技でさばきに出るところか。
――覚九段は2年前、山下棋聖に挑戦している。
覚 僕は2日目に崩れて、4連敗してしまった。その際思ったのは、山下棋聖の碁に対する純粋さだ。ひたすら盤に向かう。それが強みとなっている。
――今回はどんな七番勝負になるだろうか。
光一 依田九段は地を先行し逃げ切りを図る。特に先番ならそう。山下棋聖は厚みを築いて、相手の薄くなったところを狙う。2人とも体力がある。簡単に決め手を与えない展開になる。
覚 その通り。しのぎ勝負になる可能性が大きいと見る。2人ともしぶとく、我慢強い。単調な展開は1局もないはず。大いに注目したい。
――ずばり結果を予想してほしい。
光一 気合、気持ちの強さを買って、依田九段の4勝2敗と見る。
覚 私は山下棋聖。最近の対戦成績の9勝1敗が光る。第1局が大切だ。出だしがよければ4連勝もあるだろう。初戦を失うともつれそう。その時は4勝3敗か。
◆「上向き4連覇狙う」 山下敬吾棋聖
依田九段は挑戦者決定戦の際、だいぶ気合が入っているように見えた。井山八段に勝ち、挑戦者となったことに何の不思議もない。最近は立て続けに大先輩の挑戦を受けているが、先輩なら思いきってぶつかれるし、勉強にもなる。
最近、依田九段に大きく勝ち越しているという意識はなかった。名人戦で挑戦した時は、リーグ全勝で勢いがあったし、戦えると思っていたが、一方的にやられてしまった。布石で後れをとった碁が多かった。その反省で、自分の碁が変わったところもある。
七番勝負は時間が長いので、いったん遅れると逆転するのは難しくなる。今回は布石で遅れないようにしたい。時間の長い碁は自分に向いている。いい碁を打って、4連覇につなげたい。ファンの皆さんに面白い碁をお見せしたい。
調子は最近ようやく上向いてきた。万全の状態で七番勝負に臨みたい。
◇やました・けいご 1978年、北海道旭川市出身。小学2年で史上最年少の小学生名人。93年入段。2000年碁聖獲得。03年、王立誠棋聖を破り、第27期棋聖。06年、羽根直樹棋聖を下し第30期棋聖に返り咲く。以来3連覇。ほかに獲得タイトルは天元1期、王座2期。昨年の成績は27勝25敗
◆「最高の自分見せる」 依田紀基九段
一番最初に打った七番勝負が棋聖戦だった。棋聖は碁打ちならだれでも一番ほしいタイトルだ。
再び七番勝負の舞台に立つことができ、こんなにうれしいことはない。しっかり戦うために、最高の自分の状態を作り上げたい。意識して集中し、気持ちを高めていく。
山下棋聖は名人戦で戦った時より、円熟している。力強さは変わらないが、柔軟なものを持つようになった。最近、山下棋聖にはずいぶん負け越しているようだが、自分は気がつかなかった。負けが込んでいるという実感はない。
どんな七番勝負になるか、相手がいることだから分からないが、自分としては生きた証しを残すつもりで盤に向かいたい。最高の自分を皆さんに見せたい。あこがれの棋聖位を取りに行くつもりだ。
調子は悪くない。棋聖戦の間は、ほかのことは忘れて勝負に集中する。
◇よだ・のりもと 1966年、北海道岩見沢市出身。80年入段。84年、史上最年少となる18歳で名人リーグ入り。95年、大竹英雄十段を破り第33期十段。2連覇。2000年、趙治勲名人を下し第25期名人。4連覇。ほか碁聖6期。棋聖戦七番勝負は98年、趙治勲棋聖に挑戦して以来2度目。昨年の成績は28勝23敗。
棋聖戦 過去の勝敗
第33期棋聖戦 七番勝負 日程
対局日 | 対局場 | |
第1局 | 1月14・15日 | 北海道札幌市 「札幌後楽園ホテル」 |
第2局 | 1月28・29日 | 神奈川県平塚市 「ホテルサンライフガーデン」 |
第3局 | 2月4・5日 | 広島県尾道市因島 「ナティーク城山」 |
第4局 | 2月19・20日 | 岩手県花巻市 「佳松園」 |
第5局 | 2月25・26日 | 三重県志摩市 「賢島宝生苑」 |
第6局 | 3月11・12日 | 静岡県熱海市 「熱海後楽園ホテル」 |
第7局 | 3月18・19日 | 静岡県伊豆市 「玉樟園新井」 |
2人の対戦成績(肩書は当時)
棋戦 | 勝ち | 内容 | 負け | |
1998年 | 十段戦 | 依田碁聖 | 黒中押し | 山下六段 |
---|---|---|---|---|
2000年 | 王座戦 | 依田九段 | 黒4目半 | 山下六段 |
2003年 | NEC杯 | 山下棋聖 | 白4目半 | 依田名人 |
名人戦 七番勝負 |
依田名人 | 黒7目半 | 山下棋聖 | |
同 | 依田名人 | 白中押し | 山下棋聖 | |
同 | 山下棋聖 | 白2目半 | 依田名人 | |
同 | 依田名人 | 白3目半 | 山下棋聖 | |
同 | 依田名人 | 黒中押し | 山下棋聖 | |
2004年 | 本因坊 リーグ |
依田名人 | 黒中押し | 山下棋聖 |
十段戦 | 依田名人 | 黒中押し | 山下九段 | |
棋聖 リーグ |
依田名人 | 黒半目 | 山下九段 | |
JAL早碁 | 山下九段 | 白3目半 | 依田名人 | |
王座 挑戦者決定戦 |
山下九段 | 白中押し | 依田名人 | |
2005年 | 名人 リーグ |
山下天元 | 白1目半 | 依田碁聖 |
2006年 | NEC杯 | 山下棋聖 | 黒中押し | 依田碁聖 |
名人 リーグ |
山下棋聖 | 白7目半 | 依田九段 | |
十段戦 | 山下棋聖 | 黒中押し | 依田九段 | |
2007年 | 十段 挑戦者決定戦 |
山下棋聖 | 黒6目半 | 依田九段 |
名人 リーグ |
依田九段 | 白4目半 | 山下棋聖 | |
2008年 | 本因坊 リーグ |
山下棋聖 | 黒中押し | 依田九段 |
碁聖戦 | 山下棋聖 | 黒中押し | 依田九段 | |
山下棋聖の11勝10敗 |
Aリーグ
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 5 |
二 十 五 世 本 因 坊 治 勲 |
王 立 誠 九 段 |
井 山 裕 太 八 段 |
高 尾 紳 路 本 因 坊 |
片 岡 聡 九 段 |
結 城 聡 九 段 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
趙 | - | ● | ○ | ○ | ● | ○ |
王 | ○ | - | ○ | ○ | ● | ● |
井山 | ● | ● | - | ● | ● | ● |
高尾 | ● | ● | ○ | - | ● | ○ |
片岡 | ○ | ○ | ○ | ○ | - | ● |
結城 | ● | ○ | ○ | ● | ○ | - |
成績 | 3 位 |
4 位 |
1 位 |
2 位 |
陥 落 |
陥 落 |
Bリーグ
順位 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 5 |
張 栩 名 人 |
加 藤 充 志 八 段 |
依 田 紀 基 九 段 |
羽 根 直 樹 九 段 |
河 野 臨 天 元 |
本 田 邦 久 九 段 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
張 | - | ● | ○ | ○ | ● | ● |
加藤 | ○ | - | ○ | ● | ○ | ○ |
依田 | ● | ● | - | ○ | ● | ● |
羽根 | ● | ○ | ● | - | ○ | ● |
河野 | ○ | ● | ○ | ● | - | ● |
本田 | ○ | ● | ○ | ○ | ○ | - |
成績 | 2 位 |
陥 落 |
1 位 |
3 位 |
4 位 |
陥 落 |