上達の指南

第1回ネット棋聖戦・特選譜

(2)好判断で水精さんが勝利

(寄稿連載 2014/06/24読売新聞掲載)

 昨年の中学生名人で高校1年生の水精(みなもり)次元さんと、アマ強豪として知られる井場悠史さんの一戦。2人とも第1組の優勝候補。期待にたがわぬ熱戦を本木克弥三段の講評で紹介する。

 【1図】 両者の棋力がプロに近いレベルにあることは、本木三段が保証している。その実例が黒51から白56までの折衝であろう。
 黒51の切りに対しすぐに動かず、白52から54と下辺を打ったのが高等戦術で、黒が55と抜き、白が56と下辺を連打した。
 「見た目は黒に不満がないと思えましたが、その後の形勢から判断すると、実際は好勝負のようです」と本木三段。

 【2図】 ずっと拮抗(きっこう)した形勢で迎えた終盤。白が1とコウを取った時、黒も2とコウを取った。ここで白3の切りから5と当ててコウを拡大したのが水精さんの勝負手。これが勝負勘に優れた好判断だった。

 【3図】 右下のコウ争いが長く続いたが、黒28の時に白29と右下を連打。この一手でコウを解消できたわけではないが、こうなっては白が優勢。
 このあと白は右下隅で生きを確保して、難戦に決着をつけたのだった。
 本木三段「さかのぼって2図の黒2で3とついでいれば、黒の1目半勝ちでした」
 水精さんの白番2目半勝ち。
(佐野真)
(おわり)

●メモ● ネット棋聖戦では各クラス優勝者に賞品が贈られる。SAクラスは10万円相当。準優勝5万円相当。A~Dクラスは優勝1万円相当、準優勝5000円相当。ブービー賞、トビ賞もある。また抽選で井山裕太棋聖の写真入り特製クオカードが当たる。詳しくはYOL「ネット棋聖戦」で。

SAクラス第1組
白 水精次元
黒 井場悠史

【テーマ図】
【2図】6(1の左)
【3図】6(3の左)、9(3)、12
(3の左)15(3)、18(3の左)、
21(3) 24(3の左)、26(13)、
27(3)