上達の指南
(3)カケぴったり中央白模様
(寄稿連載 2007/10/22読売新聞掲載) ◆第20期名人戦リーグ (白)九段・武宮正樹 (黒)八段・結城聡
今回からは、白番の大模様作戦です。黒番のときは、主導権がこちらにあるので大模様に持って行きやすいのですが、白番のときは相手の出方次第になります。相手が大模様を徹底的に阻止してくれば、そのときは6目半のコミがものをいう碁に持っていきます。
そういった意味から、黒番に比べて白番の大模様は多少難しいといえます。
【テーマ図】 結城さんとの碁で、白番の私が目一杯、大模様を広げた1局です。
白1と大ゲイマに掛けたところですが、これでは白イと掛け、黒18に白21と伸びて下方の模様を広げるのも考えられますが、黒11とケイマされ、今ひとつ盛り上がりに欠けます。
結城さんは黒2とツメました。
【1図】 右上のツメは確かに大きい手ですが、黒1の押しが中央の模様を消す好点で、こう打たれるかとも思っていました。これには、白2のカカリから4とこすんで、上辺一帯を模様化することになります。
テーマ図の白3ツケ以下黒16までは相場ですが、ここで白17の星が大模様へのよい見当の一手です。
これでは、白ロと広げたくなりますが、ただ広げればよいというものではありません。逆に黒ハと打ち込まれると、左辺の白地はガラガラにされそうです。
黒18の並びに白21のカケがぴったりで、中央一帯が模様化してきました。黒22に白23と一杯に広げ、白の大模様が実現しました。
【2図】 黒22で、黒1と中央を消しにくれば、白2、黒3から白4の押さえが大きく、白十分やれる形勢です。
テーマ図の白23に続き、黒24と消しにきたとき、白25とつけて中央に広大な白地ができました。白25でニと一歩でも引くとたちまち数目の損となるので、模様の碁は怖いのです。
●メモ● 武宮九段のゴルフは碁界指折りの腕前で、ゴルフ専門誌にコラムを連載しているほど。月2~3回コースに出ていたが、ダンスを始めてペースダウン。しかしダンスで足腰が強化され、体のシンがぶれなくなったという。