上達の指南

武宮正樹九段の「夢広がる宇宙流」

(4)厚みを生かして攻撃する

(寄稿連載 2007/10/29読売新聞掲載)

◆第40期十段戦第3局 (白)九段・武宮正樹 (黒)十段・王立誠

 大模様の碁は、楽しさもありますが、本当は難しいのです。大局観、形勢判断が大事であることはもとより、一路緩むとすぐに損をし、一杯に突っ張り過ぎるとすぐに破たんを招きかねません。難しいので、プロで宇宙流の真似(まね)をする人はいません。
 ただし、アマチュアの皆さんの場合は別です。大模様で大いに楽しんでいただき、もし失敗しても学ぶものが多いはずです。

 【テーマ図】 王立誠さんとの1局で、私の白番です。
 ここまで、黒が四隅を取り、白は厚みがあるものの、地らしきものがほとんどない状況です。こういうときは、厚みを生かして上辺の黒に攻勢を掛けます。
 白1のつけがモタレ攻めの常用手段で、黒は2、4と一歩も引かず堂々の頑張りです。

 【1図】 黒1の引きは緩みで、白2、黒3の交換から白4のボウシが白の強手です。黒5に白6と遮断されると、黒はシノギが大変でしょう。
 手順中、黒1で4と逃げを急ぐのは、白A、黒B、白1で右辺が破れ、黒がいけません。また、黒3で4と上辺を逃げると、白3の押さえが大きく、たちまち右下方面に大きな白地ができます。

 【2図】 テーマ図の白7に黒8の伸びも欠かせません。これで、黒1と逃げるのは、白2のタタキ一本を食うのがつらく、白4のボウシで下方一帯に大きな地が出現します。
 テーマ図の黒8は、死んでも伸びるところです。黒8に白9から11の攻めが強烈で、黒はシノギに懸命の状態です。白は攻めながら、白17と迫って、後に白Aで左辺に地が見込めます。
 大模様は、地を囲うだけではなく、厚みを生かして相手を攻撃するとき、強い戦力として働いてきます。
(おわり)

 

【テーマ図】
【1図】
【2図】