上達の指南

武宮正樹九段の「夢広がる宇宙流」

(1)臨機応変に模様を築いて

(寄稿連載 2007/10/01読売新聞掲載)

 ◆第21期名人戦第2局 (白)棋聖・趙治勲 (黒)名人・武宮正樹

 今週から大模様の碁の楽しさについてお話しさせていただきます。
 そもそも、私が大模様の碁を志向するようになったのは、性格からきているようです。あまり細かいことにこだわらず、自然な流れ、感性を大切にする性格が、碁にも表れたのでしょう。局部の細かいことよりは、碁盤全体を広く考えて打つのが、合っているのです。
 大模様の碁といっても、いくつかのパターンがあります。第1回は「手堅く広げる宇宙流」です。 

 【テーマ図】 趙治勲さんとの碁で、私の黒番です。
 治勲さんは徹底した実利派ですから、思う存分模様を張らせてくれます。お互いに自分のスタイルで打つことになるので、碁がかみ合い、こうした意味でも楽しいのです。
 黒19の二間開きから25とこすんだのが、手堅い模様作戦でした。

 【1図】 ここでは黒1と広げたくなりますが、すかさず白2とつけられます。黒3の押さえに白4以下12までとなりますが、これは隅の地が大きく黒甘いです。しかも、白Aのつけ味が残りますが、黒Bに備えるのは後手でつらいのです。
 テーマ図の白26のコスミに黒27と開き、一歩一歩、黒は堅実に模様を広げました。

 【2図】 この展開を白がいやがって、白26で白1と開いて黒の模様拡大を阻止してくれば、黒2のカカリから4と上辺に展開します。白5の切りに黒6とカケ、こちらに模様を張ることになります。
 このように、宇宙流は一点勝負でなく、臨機応変に模様を築いていくのが特徴といえます。
 テーマ図の黒31と中央を囲ったのも手堅く、これを黒イまで広げるのは、白31と入られ、攻め方が難しいと判断しました。
 黒43で大模様完成です。

●メモ● 武宮九段は1951年1月東京都生まれ。76年第31期本因坊位、通算6期。90年第28期十段位、通算3期。95年第20期名人位。ほか、富士通杯世界選手権戦優勝2回、テレビアジア選手権戦優勝4回など、獲得タイトル数は24。

【テーマ図】
【1図】
【2図】