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岡目八目

読売新聞 2005/12/12掲載
青葉かおりさん

(3)トップ棋士を夢見て地道に努力(寄稿連載)

 今年で囲碁棋士10年目です。17歳でプロ入りしてあっという間でした。プロになると誰もがトップに立つことを夢見て、ひたすら努力します。しかし勝負の世界ですから、はっきりと結果がでます。トップにならなければ意味がないとよく言われますが、実際には総勢439人のプロ棋士の中、トップ棋士は10人か、多くみて20人ほどなのです。
 プロ棋士は幼いころから囲碁だけを頼りに生きてきた人ばかりです。私も囲碁を離れたらなにをすればいいのか途方にくれてしまいます。棋士にとって、囲碁は生活であり、人生と同一と言っていいほどです。私は試合に勝つとうれしくてうれしくて、抑えようとしても自然と笑みがこぼれます。試合の結果がはっきりと顔に出るとよく言われます。負けると、もうプロ棋士をやめたい、と絶望的な気分になります。棋士の中には、負けて、もう生きる資格がないと川に飛び込んだ方もいます。
 プロ同士の対局では少しの油断が命取りになります。そして、どんなに気を付けてもミスというのは必ず出ます。チャンスがきたと喜んだとき、形勢有利と思い、気がゆるんだ瞬間にミスすることも多いのです。また、形勢を悲観しすぎても焦りと精神的苦しさでまったく手がみえなくなります。対局中は喜びすぎても悲しみすぎてもいけません。どんな時もまだまだこれからと気を引き締め、最善を求める事です。いかに平静な精神状態を保てるかが大切だと思います。
 プロ生活を振り返れば、幸運に恵まれ何をやってもうまくいくとき、対局にもまったく勝てず、気分もどん底で苦しいときがありました。それは波のようになっていて、良いときも悪いときもそんなに長くは続かないということを知りました。何が起こってもきちんと受け止める心構えで、色んなことにあまり惑わされず、地道に努力していくしかないのです。そう考えるようになって最近は少し気持ちが楽になりました。
(囲碁棋士、四段)
(おわり)
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