上達の指南

金賢貞四段の「シチョウにご用心」

(1)工作されても賢く回避

(寄稿連載 2017/11/14読売新聞掲載)

 「シチョウ知らずに碁を打つな」という格言があるように、シチョウは大変重要です。ごく単純なシチョウもあれば、複雑怪奇なものまでありますが、本講座ではちょっと面白いシチョウを学んでいただきます。

 【テーマ図】白8の掛かりに黒9のハサミ以下黒15まで基本定石です。ここで白16の打ち込みに黒17とつけ、白Aに割り込むと、面白いシチョウが発生します。

 【1図】白1に黒2から4の抱えは気合でしょう。白は5の切りから9と抱え、黒10の逃げ出しまで一本道。

 ここで白は右方の黒にシチョウ当たりを打ちますが、どのような手が面白いでしょうか。

 【2図】白1のコスミツケからいきます。黒2に白3とハネ出し、黒4以下白9と当てられ、黒は「ギャ!」となります。

 【3図】△のハネ出しに黒1とシチョウを回避するのは考えられる手です。白2のツギに黒3と備えておけば、黒は最悪の事態は避けられます。

 しかし、黒にはもっと賢い回避策があるのです。

 【4図】白1と工作してきたとき、これに構わず黒2と完全にシチョウを解消するのが最善です。白3と突き抜かれますが、黒4と備えておけば、下辺の黒地が大きく黒十分です。

 ここまで述べてきましたように、テーマ図、白16の打ち込みは、4図の結果を招いて白がよくないとされ、最近プロの碁では見られなくなりました。

●メモ●  「だんご三世代囲碁大会」の第7回大会が、10月に日本棋院中部総本部で開催された。1チーム3人の団体戦で、子ども(15歳以下)・親世代・祖父母世代の3世代で構成する。今年は32チームが参加した。「アットホームな大会で、これからも盛り上げていきたい」

【テーマ図】
【1図】
【2図】
【3図】
【4図】