上達の指南
(3)自分の石ない方向に追う
(寄稿連載 2017/11/28読売新聞掲載)左右、または上下どちらからでもシチョウに取れる場合、味方の石がいない方向に追うのが鉄則です。自分の石がある方向に追うと、シチョウ当たりを打たれて思わぬ損害を被ることがあります。
【テーマ図】黒13の詰めに白14のノゾキ一本で手を抜くのは足早な作戦ですが、黒17の打ち込み以下の手段を覚悟しなければいけません。黒19とケイマし、白20の掛けから26のブツカリに、思わぬシチョウが潜んでいるのです。
もちろん黒イ、白ロとなるなら無事ですが……。
【1図】黒1のハネから3の押さえが、シチョウ関係を含んだ強手なのです。これに対して白4から6と下がって徹底抗戦すると、黒からシチョウ封じの妙手が飛び出すのです。
【2図】△の下がりに黒1のツギなら、白2から4のシチョウは一目瞭然でしょう。しかも下辺には白の石がなく、有効なシチョウ当たりが打てません。黒の大損です。
【3図】しかし、黒1とつける絶妙の一手があるのです。これからどのようなことになるのか、ご一考ください。
【4図】白1につぐと、黒2とつぐ手が成立するのです。白3の切り以下シチョウに追ったとき、▲のツケが働いて黒18の抜きが成立するのです。
したがって、白1のツギでは2と抜くよりなく、黒1のツギが厳しい。くれぐれも「シチョウにご用心」を。
(おわり)
●メモ● 金四段は夫の中根直行九段との間に男の子2人の4人家族。11歳の兄がアマ五段、8歳の弟がアマ三段という囲碁一家だ。ただし子供たちに直接囲碁は教えずに、子供教室などに預けている。「外の先生は囲碁が楽しいものだと教えてくれるが、自分が教えるとつい厳しくやってしまうので……」