上達の指南
(3)研究から生まれた新工夫
(寄稿連載 2009/12/22読売新聞掲載) ◆第22回世界選手権・富士通杯決勝 (白)九段・姜東潤 (黒)九段・李昌鎬
国際棋戦はテレビ囲碁アジア選手権戦と三星火災杯の本戦に出場しましたが、どちらも1回戦で負けてしまいました。もっと必死で勝ちにいかなければいけません。
相変わらず、韓国と中国の若手棋士の研究量はすさまじいものがあります。日本の若手も勉強はしているはずですが、棋譜が表に出にくく、よく伝わってこないのが実情です。
【局面図】韓国同士の決勝。白12の堅ツギは新手ではありませんが、工夫した手です。最近はイの押しなどより多く打たれているかもしれません。僕はまだ試みたことはありませんが、ひそかに勉強はしています。
【実戦図】その後、白20までの進行です。僕は白が打てるのではないか、と考えています。
【変化図1】実戦図の黒15で1と飛び、白2、4のワリツギに黒5と押し上げます。以下、白10までが流行形の一つです。黒は右上隅と右辺の両方を打ったと主張しているのですが、白は厚く、将来、白Aの詰めも非常に厳しい。白に不満はないでしょう。
手順中、黒5を10とハネるのは、白Bの切りから黒6、白Cとシチョウに取られ、黒Dと後手になってつまりません。局面図の白ロに先行されます。
【変化図2】また、白16で1と突き当たるのは、黒2と飛ばれてから6のツギまで、白は急所をハネられた形で、ハマリに近いぐらいです。
(おわり)
●メモ● 結城聡九段の長女、沙菜ちゃんは2歳半。3歳になったら、結城九段の義父にあたる堀田陽三九段が神戸で主宰する囲碁クラブに遊びに行かせることに周囲が決めているという。子どもたちと楽しい時間を過ごしながら、自然に囲碁を覚えることになるだろうから、将来が楽しみだ。