上達の指南
(2)黒の模様と白の実利 対抗
(寄稿連載 2018/12/19読売新聞掲載)許碁聖は今年、井山裕太棋聖から碁聖のタイトルを奪い、七冠の一角を崩しました。見事な活躍でした。
河野九段の安定した成績は立派の一言です。自分がタイトルを目指すだけでなく、若手への大きな壁として立ちはだかっていただきましょう。
【局面図】まだわずか20手そこそこですが、黒の模様と白の実利の対抗という構図がはっきりしています。
【参考図】右上隅、黒と白の3子ずつがぴったり重なったのがスタートです。
ここでは、黒1と隅の方をハネて実利を優先するのが普通の着想と思います。白4のカケツギまでが相場でしょう。次に黒Aとのぞき、白Bツギに、黒Cのカカリから符号順に黒Gの開きまでが有力と見えます。
局面図は黒1でBと外をはね、3のハネに黒1と切ったのです。だが、黒2子をポン抜かせたのは少し損ですから、どうだったでしょうか。
【変化図】△のツケに対し、黒1のハネには、白2と外をはね、黒3から7に白8と三間に開くことになります。これは白に不満はありません。
【実戦図】黒1と外に伸びました。白2の下がりから4のケイマは形です。黒5に白6から8と打ち、白10にコスんで形を整えました。
黒11のカカリに手を抜き、白12のボウシが好点でした。白30まで、自然の流れです。
●メモ● 「中国・都市囲碁リーグ」は、メンバー中の3~6人がリレー形式で一局打つ異色の棋戦で、結城聡九段は大阪創新生物チームの大将格として、若手、女流棋士、アマを率いて参戦した。8月、ベスト8に進出したが、10月、惜しくも敗退した。
第43期棋聖戦Sリーグ
白 碁聖 許 家元
黒 九段 河野 臨