岡目八目

青葉かおりさん

(2)ゼロから説明、米国で苦戦

(寄稿連載 / 2013.04.09読売新聞掲載)

 ジュネーブの後、米国に移りました。2009年8月から1年間の滞在でした。

 ノースカロライナ州ダーラムは、のんびりとして自然が美しいところでした。牧場やゴルフ場が広がり、近くのコンビニまで歩いたら1時間もかかります。人よりも牛の方が多いなんて冗談が聞かれるのに、どうやって囲碁普及をしましょう。

 ただここには世界でも有数のデューク大学があります。私は飛び込みで、「囲碁を教えさせてください」と無謀な訪問をしたのです。ジュネーブは通訳もしてもらえたのですが、こちらでは一人きりですから、苦手な英語でともかく挑戦です。身ぶり手ぶりで四苦八苦でした。

 ところが、事務局の方がこちらの熱意をくんで、日本語を勉強している学生たちを紹介してくれて、あっという間に囲碁を教える環境が整いました。何をやりたいのかが伝わると、それはいいとなって話が早いのです。

 あちらで感じたのは、遠慮していると相手にしてもらえないということです。自分をきちんと説明できないといけない。そのかわり、分かってもらえれば認めてくれるし、受け入れてくれる。

 学生たちは元々、日本文化に興味がありますから、私のつたない英語でも、向こうから理解しようとしてくれます=写真、中央が本人=。これはうまくいきそうと思いました。

 ところが、碁を知らない外国の人に、ゼロから説明するというのは予想した以上に難しいものでした。

(囲碁棋士四段)