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岡目八目

読売新聞 2008/04/07掲載
円田秀樹さん

(4)「職業」と「趣味」深まる友情(寄稿連載)

 中南米などを巡回指導する際は、できるだけ関係者の家に泊めてもらうようにしています。現地の生活がよく分かり、友人も増えるからです。これまでアルゼンチン、コロンビアなどでホームステイをしましたが、どの家庭でも歓迎を受け、楽しく過ごすことができました。
 「あなたにとって囲碁はどのような存在か」とよく尋ねられます。相手は哲学的な回答を望むのですが、私は「あなたと会うためのもの、友達を得るためのもの」と答えます。少しキザかも知れませんが、本当の気持ちです。
 もちろん、7歳で囲碁を覚えた私はいつも囲碁について考え、タイトル獲得やリーグ入りを目指していますが、それはプロとして当たり前。囲碁は生活の糧となる「職業」なのです。一方、アマチュアにとっては「趣味」です。何人か集まれば、友情が生まれます。指導する立場の私もアマチュアの純粋な気持ちはうれしく、ふと「職業」を離れて出会いの場に足を向けてしまいます。
 囲碁を通じて海外で数多くの友人を得ました。イスラエルで知り合ったウリ君は、私との出会いをきっかけに静岡県に住み、大阪にいたころの私をたまに訪ねてくれました。トルコのケレム君は私の家に泊まって京都、奈良などの観光を楽しみ、一昨年、私が再びトルコを訪れた際は、どこへ行くにも付き添ってくれました。
 南米でも多くの友人ができました。コロンビアのハイメ君やチリの少女マデリンさん・・・。私は6月いっぱいで日本に戻りますが、この方々とは長く友人でいられそうです。そして私の財産です。
(囲碁棋士九段)
(おわり)
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