岡目八目
(2)親の熱意 子の頑張り
(寄稿連載 2016/03/08読売新聞掲載)韓国では、子どもが囲碁を習い、プロを目指すまでのシステムが確立されています。
入門のための最初の窓口は学校です。前回触れた放課後教室はもちろん、町の道場についても詳しく紹介してくれます。そしてその子が強くなり、先生の能力を超えたら、ソウルなどの都会やその地方で一番の道場を紹介してもらい、そこでより高度な勉強ができるようにレールが敷かれているのです。
その中でも特に優秀な子は韓国棋院の院生になっていくのですが、院生オンリーという子はまずいません。どこかの道場に所属し、そこに住み込んで修業に明け暮れているケースがほとんどです。
ただ、道場に住み込ませてもらうには月150万ウォン(約14万円)ほどの費用がかかります。裕福な家庭でないと、かなりの負担です。それでも親は子どもに懸けます。
そうした親の思いを子どもも分かっていますから、必死になって頑張るのです。だから強い子が育つのだと思います。
韓国では24時間、テレビで囲碁番組が放映され、それを一日中流しているお店が普通に見られます。囲碁は子どもの教育に役立つツールとして認められており、その認知度が親の熱意を喚起しています。
そして関心という点で言えば、9日開幕の李世ドル九段と「アルファ碁」の五番勝負が、かなりの盛り上がりを見せています。
欧州のプロに勝ったコンピューターが、世界のトップ棋士を相手にどれだけの勝負をするのか。個人的には、さすがに李九段の勝利は揺るぎないと思っていますが――。
(囲碁棋士三段)