岡目八目

ほったゆみさん

(1)「ヒカルの碁」配石は正確

(寄稿連載 / 2008.05.19読売新聞掲載)

 ◇ほった・ゆみ

 週刊少年ジャンプで、4年間にわたり連載された「ヒカルの碁」。碁の漫画ですから、作中には当然、たくさんの対局が出てきます。それらの盤面はすべてちゃんとした配石で描かれていますが、これが実はとても大変でした。

 正しく盤面を描くには棋譜が必要です。しかも碁を打っているのは主人公だけではありません。団体戦の大会会場や碁会所では、たくさんの盤面が出てきます。でも、担当編集者と作画の方は囲碁を全く知らないので、「原作の私が全部の棋譜をなんとかするしかないの!?」と、連載開始前、大きな不安に襲われました。(ちなみに私は棋力3級)

 「棋譜まで用意できそうもありません。盤面の配石は正しくないといけませんか?」と担当に泣きついたら、彼は「僕に任せて下さい」と言い、日本棋院の協力を取り付けられました。私が描いた原作(漫画の一コマ一コマの流れが描かれているモノ)を棋院の方に読んでもらい、必要な棋譜を用意してもらう。簡単に言いますが、週刊連載です。

 ところが、これが見事に回り始めました。棋院の方たちが毎週毎週、話にあった棋譜を用意し、漫画の一コマごとに何手目であるかも書き添えます。この棋譜と添え書きが作画の方に手渡され、「ヒカルの碁」は脇役の人たちの対局まで、すべて正しい配石で描かれました。私は、今でもすごいなあと感心しています。

 私が「盤面の配石は正しくないといけませんか?」と相談したあの時、担当は「子供に間違ったものを見せてはいけないでしょう。彼らはホンモノだと思って読むんです」とも言われました。感謝です。

(漫画原作者)