岡目八目

ほったゆみさん

(3)入門教室「勝ち負け」無用

(寄稿連載 2008/06/02読売新聞掲載)

 昨年、知り合いから講演を頼まれました。人前で話すことは苦手なのですが、少人数だったのでお引き受けしました。「引き受けたのはいいけれど、一時間半は長い。どうしよう」あれこれ考えて思いついたのが囲碁入門教室です。

 「ヒカルの碁」の話をメーンに、余った時間を入門教室。これで何とかなりそうです。人に碁を教えたことはありませんが、入門で行われる「石取りゲーム」は知っています。必要なのは九路盤。さて…九路盤をいくつも作るのは大変だし…。そうだ!棋院なら貸してくれるかも、と思い、早速電話。「貸し出ししてます」というお返事にひとまず安心。

 でも有料だと聞いて、意外な気がしました。九路盤は主に普及に使われる碁盤なのですから、無料にはできないのでしょうか。教育関係に貸し出す時は無料になる場合もあるそうですが、例えば子ども会や商店街の行事などでも、入門教室をやろうとしていたら、無料で貸し出してあげたいですよね。私は「無報酬でやる」ことを告げて、無料にしてもらいました。(笑)

 そして当日。和気あいあいの中、ミニ入門教室は無事終了。皆さん、楽しかったと言って下さいました。でも反省点も。「先に石を取った方が勝ち」と教えず、どちらかが石を取ったらゲームは「終了」とでも表現すればよかったと思います。ゲームに「勝ち」「負け」は付き物ですが、勝ちは楽しくても負けはつらいですよね。「勝ち負け」という言葉を避ける気遣いをしていれば、もっと和んでやれたかもしれません。いい勉強になりました。

(漫画原作者)