岡目八目
(2)うれしい欧州のヒカル人気
(寄稿連載 2008/05/26読売新聞掲載)一昨年夏、イタリアで行われた「ヨーロッパ碁コングレス」にゲストとして行って来ました。これは毎年夏、ヨーロッパの各国が持ち回りで開いているもので、既に51回を数えた歴史ある大会です。と、知ったようなことを書いていますが、イタリアに行くまではほとんど前知識ゼロ。重野由紀さん(私が一番親しくさせて頂いている棋士です)と、イタリア囲碁連盟の会長である岡勇さんのお誘いだったので、心強い方たちがいてくださるのならと、初のヨーロッパ旅行を決心。友人3人を誘って名古屋をたちました。
開催地のフラスカーティはローマにほど近く、涼しくてとても過ごしやすい街でした。開催期間は二週間。参加者には、韓国人や中国人、日本人もいます。世界中の人が碁を打っている、そんな光景を、碁に関心のなかった友人達はとても面白がっていました。
さて、会場で私が挨拶(あいさつ)をした時のことです。参加者から「ヒカルの碁で一番好きなキャラクターは誰ですか?」という質問がありました。私が一番好きなキャラ?「誰だと思いますか?」と逆に聞くと、「イスミ」「アキラ」「サイ」「オガタ」「トウヤメイジン」など、あちこちから手が挙がり、出るわ出るわ。一人ずつに「違います」「違います」と答えながら、こんなにみんな知ってくれているんだと、うれしくなりました!
・・・が、「アカリ」「クワバラホンインボウ」…と、いつまでも正解が出ないと、だんだん焦ります。「ほら、まだ出てないのが一人!」すると「ヒカル!」やっとどこからか声があがりました。「正解!」主人公忘れられてたみたい?
(漫画原作者)