岡目八目
(2)負けず嫌い 目標達成の力に
(寄稿連載 2013/09/24読売新聞掲載)5歳で囲碁を始め、12歳で来日するまで、台湾の教室で毎日囲碁の勉強を続けました。両親に連れられて、韓国や中国に勉強に行くこともありました。
もちろん、その頃の勉強のおかげで強くなったのですが、二度と戻りたくない日々でもあります。なぜなら、父がとても厳しかったからです。
父は学習塾の教師で、厳しいことで有名でした。私にもいつも付き添い、激励し続けました。それは叱咤(しった)と言ったほうがいいかもしれません。大会で負ければ、一晩中、父の雷を覚悟しなければなりませんでした。
なぜ耐えられたのかといえば、たぶん、私が一番になりたい子供だったからだと思います。
今思い返すと恥ずかしいのですが、「自分は大統領になる」と信じていたほどです。囲碁でも、この負けず嫌いの性格が「怒られることより、自分の目標のほうが大事」と思わせてくれました。
当時から林海峰先生はスター的存在でしたし、その後も張栩先生をはじめ、日本で活躍する棋士のニュースは台湾で大きく取り上げられます。囲碁の教材も日本のものがほとんどでした。私は当たり前のように日本でプロになることを目標にしました。
台湾には、何かを目指している若い人を経済的に応援してくださる方が大勢います。来日するにあたり、私も何人かの方にご支援いただきました。
子供心にプレッシャーもありましたが、その方たちの応援があったからこそ、なんとかここまでくることができたのだと感謝しています。
(囲碁女流三冠)