岡目八目

市橋優さん

市橋優さん

(4)囲碁界の将来 妙手に期待

(寄稿連載 2019/06/26読売新聞掲載)

 最近はオリンピック関係の仕事が増え、広島と東京の生活が半々になっています。多忙な中、囲碁ライフも充実させています。

 地元の囲碁仲間との「いち碁会」では今年も秋口に大会を予定していますし、不定期にプロ棋士を呼んだ指導碁会も行っています。

 アマの交流も増え、稲葉禄子さんと親しくなってからは、囲碁将棋チャンネルの「パッション」という番組に出たり、女流アマの囲碁インストラクターの大会を企画して、こちらも想像を越える反響となりました。プロアマ問わず、何かしてやりたい、という情熱は人一倍あると思っています。

 囲碁のおかげで職種も違う何千人の方と出会え、親しくなりました。囲碁の縁は素晴らしいものです。数年間にこれだけ大勢の方とこんなにも距離感を縮められた。これは囲碁にしかできないことだと思います。

 しかし、一番の願いは、日本の棋士が中国や韓国の棋士に勝つこと、伝統文化であるこの素晴らしい囲碁が日本国内でもっとメジャーになることです。

 囲碁界に限らず、これだけ少子高齢化が進む中では、どこかで誰かが何かを変えないと、なかなか状況は好転しないという危機感も抱いています。囲碁はのめり込むほど面白いのですが、やった者にしかわからない。そのジレンマも感じます。

 次の一手はまだわかりません。でも、どこかにヒントはあるはずです。囲碁界の将来を真剣に考える方々の妙手を期待しつつ、私自身も、囲碁への野望と情熱を燃やして、自分が打てる一手を探していきたいと思っています。

(市橋工業代表取締役)(おわり)