岡目八目
(3)1万句を超えた囲碁川柳
(寄稿連載 2010/10/05読売新聞掲載)落語芸術協会をやめた後、兄弟子の桂円枝師匠に連れられて、東京の下町、根津の飲み屋に行きました。このお店、各テーブルに碁盤があり、一杯飲みながら碁が打てるってことで、にぎわっているんですナ。ルールだけは知っていましたから、お客様の女性と打ちましたが、これが無残な中押し負け。
これで今まで眠っていた囲碁への情熱がいっぺんに目を覚まし、それからは囲碁一筋。こう言うとまことにカッコウはよろしいんですが、いまだに級位者の域を出ません。まぁ、お情けで初段の免状だけは頂きましたが。
誘われて「碁柳会」の仲間に入れて頂いたのも同じ頃です。碁好きが集まって碁を打ち、川柳を作る会です。したがって、必ず碁に関係した川柳でなければなりません。平成八年に発足し、作品は既に一万句を超えているといいますから、ギネスものです。
月一回の例会には十二、三人が参加し、一人七、八句作ります。この川柳を色紙に書き、お正月に日本棋院のロビーに展示させて頂いております。ご覧頂き、ご意見なども伺いたいものと思っております。
例によって「碁柳会」仲間の囲碁川柳です。
『家事ならばわしもやっとる碁盤拭(ふ)き』 斜凡
『階段をシチョウに登るも歳のせい』 華柳
『碁が厚くなる頃化粧も厚くなり』 さおり
(噺家、色紙も)