岡目八目
(3)ペア碁3人版「レンゴ」に注目
(寄稿連載 2013/08/06読売新聞掲載)ヨーロッパ碁コングレスの歴史は古く、第一回は一九三八年に開催されています。五八年から毎年行われ、今夏のポーランド大会で五十七回になります。欧州の人々は、車や自転車で家族連れでやって来ます。参加者の最多は、スウェーデン・レクサンドで開催された五十二回大会の四十か国、九百二十五人でした。
大会中のミーティングで三年先の開催地を決め、三年かけて準備をします。
一日一局、持ち時間二時間半のメーン・トーナメントは粛々と、遊び心いっぱいの多彩なサイド・イベントは真夜中まで平気で行われ、十五日間、人々は碁漬けになるのです。期間中、二回の水曜と土日にはメインはなく、魅力的なエクスカーション(観光)が組まれます。男性が女装するレディース・トーナメントでは、その美しさに驚嘆したり、歩く姿や話す声にドッキリしたり、円形の碁盤や立体の碁盤を考案する欧州の人の豊かな遊び心には脱帽です。
多彩なプログラムの中から、私は「レンゴ」に注目しました。ペア碁の三人版で、一つの碁盤を六人で囲んで対戦します。ペア碁より責任感が分散し、下手の負担も軽く、上手にも面白く、日本に紹介したいと思いました。
日本には、別の意味の「連碁」があるので、「トリプル碁」と命名、普及の願いを込めて、三人の真ん中に必ず級の人を入れることを条件にしました。企業の支援もいただき、年ごとにリピーターも増え、昨年の第十回記念仮装大会には二百人が参加してくれました。
囲碁普及の場に、ぜひ取り入れてほしいと願っています。
(囲碁ジャーナリスト)