岡目八目

菊池康郎さん

菊池康郎さん

(2)囲碁の認知症予防効果

(寄稿連載 2015/11/10読売新聞掲載)

 全日本囲碁協会の活動目標のひとつに、高齢化社会への対応があります。高齢者が囲碁に親しむことで、色々なプラス面があると言われています。私もこのテーマが気になる年代になってきました。

 緑星囲碁学園の出身者で、囲碁の認知症予防効果を研究している人がいます。東京都健康長寿医療センターの医師、飯塚あいさんです。

 彼女は碁のセンスもよく、日本棋院の院生になってプロ棋士を目指しましたが、高校1年で転換し、医学の道に進みました。専門は脳神経内科です。囲碁の活動に理解がある湖山医療福祉グループの協力で、高齢者施設の入所者に囲碁を学んでもらい、その効用について研究しています。

 協会の機関紙「日本の碁」にも毎号、エッセーを寄せてもらっています。協会会員の皆さんには彼女が主唱する「囲碁療法」が徐々に理解されていると思います。いずれ小冊子にまとめたいと思っています。研究が進み、立派な成果として結実することを期待しています。

 いくら目標を掲げても、役員だけでは到底なし得るものではありません。アマチュア囲碁ファンの底力を結集することが大切だと考えています。

 協会は正会員、賛助会員、賛同会員の3種の会員で構成されています。正会員は碁会所を始め囲碁を職業とする人たちが中心で、現在、60人います。賛助会員と賛同会員は一般の囲碁ファンで、計257人が加入しています。会員は当初の想定を上回るペースで増えています。心強い限りです。会員の意見や提案を糧に活動を進めていきたいと思います。

(全日本囲碁協会理事長)