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岡目八目

読売新聞 2005/03/14掲載
キム・ピョンミン
金秉民さん

(1)韓国は「勝負」日本は「調和」(寄稿連載)

 韓国語が出来ることもあり、ここ数年、通訳など日韓交流にかかわる仕事が増えてきた。その中で日本と韓国の囲碁の現状について感じることがある。
 よく質問されるのが「世界戦で韓国勢が強いのはなぜ?」。理由を挙げるときりがないが、若手棋士に尋ねると、「兵役を免除されたいから」と答える人が目立つ。韓国には20歳くらいで兵役を務める制度があり、世界戦で実績を上げると免除される。最近では朴永訓、李世ドル九段らがそうで、若手の励みとなっている。
 こうした制度は、スポーツの世界にもあるらしい。子供たちにとって一つの最終目標になっているのか、世界戦に対するモチベーションは日本の棋士よりかなり高いようだ。その結果、勝負への意識が強くなるのだろうか。囲碁の内容を見ると日本と差はないのだが、最終的にはぴったり勝ってしまうことが多い。
 ただ、一部の棋士が悩んでいる点もある。逆転で勝ちを拾うことが多いから、最近の子供たちは内容的にひどい対局でも投了せず相手のミスを待っているとのこと。「囲碁を打つ」ではなく、「勝負を打つ」感覚なのだそうだ。
 対照的に、日本の棋士はぎすぎすした勝負よりも一局の流れを大事にしている感じがする。「勝負」より「調和」の囲碁を志向するので、肝心なところで勝負弱さが出るのだろうか。
 最近、日本の棋戦はコミが5目半から6目半に変わったが、これも韓国が先行した。まだ5目半のころ、李昌鎬九段と劉昌赫九段が「6目半でも黒持ちだね」と語った。トップ棋士の発言だけに重みがあり、これを機にコミが変更されたそうだ。確かに6目半になっても勝率は黒の方がいいらしい。
 悔しいのは、日本の囲碁界がそれに追随する形でコミを変えたことだ。昨年からは予選の持ち時間まで韓国と同じく3時間が基本になった。そんな影響を日本に及ぼすほど韓国が強くなったということだろう。
(関西棋院棋士、七段)
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