岡目八目

金秉民さん

金秉民さん

(3)子供を励ます取り組み必要

(寄稿連載 / 2005.04.04読売新聞掲載)

 韓国の囲碁教室はソウル市を中心に全国で1000か所を超える。しかも生徒数が平均70人を超える人気だ。その対象は入門者、級位者、プロを目指す者の3通りに分かれている。入門者教室が最も多く、それをまとめているのが韓国棋院傘下の「韓国囲碁道場協会」である。

 業務の柱は子供大会の企画とテスト作成。テストは詰め碁、次の一手といった筆記試験だ。各教室の子供たちは普段のリーグ戦と、このテストの成績によって昇級する。テストを活用することで知識の偏りがなくなるし、子供が頑張るための格好の目標にもなっているそうだ。

 ソウル市内では週末になるとどこかで大会が催されている。地域の大会から全国大会まで様々。日本と違うのは、大会で優勝すれば「奨学金」という名目で賞金が出ること。とりわけ全国大会で優勝すると100万円以上もらえる。毎月5万円程度で大体2年間支給されるのだが、この間に棋士になると奨学金は打ち切られる。

 棋士を目指す教室へ通うと、1か月に10万円以上かかるから、親にとって奨学金はうれしい助けになる。子供も必死だが、親も必死で、少しでも優れた教室へ通わせようとする。

 教室同士の競争も激しい。生徒を院生に送り出せば箔(はく)がつくし、もし棋士が出て大活躍すれば相当な宣伝になる。このように韓国では教室や親、子供が互いに刺激し合える環境ができている。

 日本は近年、漫画「ヒカルの碁」の人気を追い風にして、ようやく子供への普及活動が進み出した。全国大会には数百人の参加者がある。上位入賞者が韓国などへ海外研修に行けるという"ご褒美"付きの大会もある。

 こうした子供の励みになる試みを増やすのも、レベルの底上げに一定の効果があるのではなかろうか。そして、韓国囲碁道場協会のように子供をサポートする取り組みの必要性も痛感している。

(関西棋院棋士、七段)