岡目八目

きたろうさん

きたろうさん

(3)利発でおしゃべり美香先生

(寄稿連載 / 2013.06.11読売新聞掲載)

 NHK「囲碁フォーカス」で後半8か月の講師を務めてくださった吉田美香八段についてお話ししましょう。

 美香先生はね、中学しか出ていないコンプレックスと、囲碁に人生を懸けてきたというプライド――このバランスと意識の持ち方が個性的で、かわいらしさを感じました。

 前任の吉原由香里六段がアイドル的な存在だったから、相当な重圧もあったみたいです。でも大阪のおばちゃんみたいなところがあって、おしゃべりが大好きだから、オープニングの会話とかでは何を話しても実にうまく対応してくれる。非常にやりやすかったですよ。

 リハーサルの時、僕はいろいろ冗談を言うのですが、彼女は平気で流せるし、とんでもなくおもしろい切り返しをしてくる。こちらの方を放送で流したいくらいでした。

 ものの考え方がすごくしっかりしていて、利発という言葉がぴったりな人ですから、僕としては彼女のそういう部分を前面に出していければ、という思いが強かったですね。なかなかの名コンビだったのではないでしょうか。

 収録の合間に美香先生や由香里先生に、囲碁界や棋士生活についてのお話を伺ったのですが、その中で思ったのは、勝負の世界というのは本当に厳しいものなんだな、ということです。勝たなければ何にもならないわけですからねぇ。

 番組の中で学んだ手筋が最近は実戦でも現れたりするので、少しは強くなっている実感があります。僕が強くなってしまうと視聴者だった方々ががっかりするのでは、と関係者の人に言われましたが、ぜひ皆さんをがっかりさせたいものです。

(俳優)