岡目八目
(2)「夢の囲碁村」構想急進展
(寄稿連載 2011/04/05読売新聞掲載)1993年、30名が集まって日本棋院大町支部が設立されました。このとき私は、「大町支部という木がようやく地表に芽を出した。この木を大切に育て、北アルプスの風雪に耐えられる大木にし、花を咲かせ果実を実らせようではないか」ということを申し上げ、協力を求めました。当時の大町市長・腰原愛正氏も出席されていて、「景観の素晴らしいこの地に、囲碁・将棋などを存分に楽しめる施設を作りたい」と語り、祝宴は大いに盛り上がりました。
この市長の発言が、数か月後には「囲碁村」構想となり、計画樹立まで発展するとは夢にも思いませんでした。
しばらくして市長室を訪れると、机の上に日本棋院発行の雑誌「棋道」があり、そこに「夢の囲碁村」と題した読者の投稿記事がありました。
「夢の囲碁村は首都圏から三時間くらいで行ける高原のリゾート地で、旅館、温泉があり、全国から囲碁愛好者が集まって、思う存分に囲碁が打てて、温泉で疲れを癒やす。なんと素晴らしいことではないか」というものでした。まさに私たちの思い描いた構想と同じものでした。この偶然に驚くと同時に意を強くし、「アルプス囲碁村」というネーミングが決まりました。
市長が日本棋院を訪れ、「夢の囲碁村」に書かれている環境がそろっていること、市として取り組む用意があることを伝え、「アルプス囲碁村」はスタートしたのです。
その年の11月には、日本棋院から安藤武夫常務理事らが来訪され、年明けには「大町市の囲碁村構想に全面的に協力する」という心強い確約を頂いたのです。
(アルプス囲碁村推進協議会会長)