岡目八目
(2)雑誌「碁的」第3号で大反響
(寄稿連載 2011/09/27読売新聞掲載)囲碁ヤバイ。ブッ飛んでる。予想外――。昨秋、インターネット上に吹き荒れたそんな評判とともに、「碁的」は一夜にして世間の話題をさらった感があります。若者への囲碁普及を目的に活動するボランティア団体「IGO AMIGO」が発行するフリーマガジンです。
創刊は2008年。当時は囲碁ファンの間で注目された雑誌でしたが、一般の方々の目にもとまるようになったのは、昨秋発行の第3号がきっかけでした。ファッション誌と見まがうデザインの表紙に、「頭の中からキレイをつくる」というキャッチコピー、「いい女ほど強い」という大胆なメッセージ。誌面を開けば、囲碁デートに囲碁占い、囲碁で学ぶ女子力アップのマネー講座など、およそ従来の囲碁雑誌の常識を覆す記事が並びました。
表紙を飾ったのは万波佳奈四段。茶髪のウィッグにギャル風の付けまつげをつけて、思わせぶりな表情で首を傾(かし)げる彼女の姿は、ネット上でも大きな反響を呼びました。
女性のための囲碁雑誌を――。そんな想いで、たった数名の、しかも素人の編集部員が創刊したこの雑誌。今春には第4号を発行し、ますます注目を集めています。あるテレビ番組の調査では、今年下半期の流行語予想で「囲碁ガール」がなんと2位にランクイン。囲碁はいま、新しい時代のライフスタイルとして広がりを見せ始めています。
「頭の中からキレイをつくる」――。小さなフリーペーパーがうたったこの文句は、多くの女性たちの共感を集めながら、大きなムーブメントを巻き起こすかもしれません。
(「碁的」編集メンバー)