岡目八目
(3)仲間と出会い「碁的」創刊
(寄稿連載 2011/10/04読売新聞掲載)囲碁のフリーペーパーを作っています、なんていうと、よほど碁が得意なのだろうと思われるかもしれませんが、全然大したことはなく、せいぜい二、三段くらい。囲碁は幼い頃、祖母に習いました。他の習い事に夢中だったこともあり、祖母が他界したのを機にやめてしまいました。
再開したのは高校生になった時。たまたま囲碁部があったので入りましたが、なんと女子部員は私だけ。花の高校生活に期待を膨らませたのですが、暗たんとした気持ちになりました。
それでも3年連続で県代表に選出――なんていえば聞こえは良いのですが、つまりは県内の女子囲碁部員が私ひとりだったというオチで、大会に出ても一局も打たず受付に座っているだけ。それで優勝なのですから、笑い話です。
友達もずいぶん誘いました。でも無反応。囲碁はおじいさんが打つものだという先入観が強く、にべもなく断られる始末。当時の私にはなすすべもなく、仕方なくひとりぼっちで囲碁を続けました。
転機が訪れたのは社会人になってから。仲間が現れたのです。若者に囲碁を普及する「IGO AMIGO」に出会いました。スタッフは全員ボランティアの社会人。みな若くバイタリティーにあふれ、本業の傍らすさまじいパワーで企画を実現していきます。
この人たちとなら――。そんな想(おも)いが頭をもたげました。高校生のころからの夢、囲碁の雑誌をつくること。若い人が興味をもってくれる雑誌、できれば女性向けの華やかな囲碁雑誌を。
「碁的」は、そんな想いで無鉄砲に立ち上げたのです。
(「碁的」編集メンバー)