岡目八目
(4)子供たちの腕試し「育成会」
(寄稿連載 2012/10/16読売新聞掲載)前回は、日本全体の大きな課題についてお話ししました。ほかにも、首都圏以外に子供教室が少ないという現状も問題で、地方に住む棋士を派遣するなどの整備が必要でしょう。子供を5歳から囲碁道場に預ける韓国と違い、日本は一時的な習い事です。親の理解を得つつ、囲碁界が課題とどう取り組むか。世界で活躍できる子供が育つまでにはまだまだ難しい道のりです。
でも、何もしないわけにはいきません。
私の教室の話に戻しましょう。私の生徒はレベルは決して上の方ではありませんが、できるだけ力になりたいと思っています。週5日の教室や夏休みの毎日の教室の他に、昨年から合宿もやることにしました。ちゃんとした報酬がとても出ない中、今年は加藤充志九段、蘇耀国八段、望月研一七段が手伝いにきてくれました。「友情出演」です。
韓国にあるシステムなのですが、子供たちの腕試しの場を増やすために定期的に大会を行いランキングをつける「育成会」も行うようになりました。東京の囲碁道場や一般の子も加わって盛り上がってきています。
中国や韓国にかなわないまでも、小、中学生で強い子が出てきています。5、6歳の入門希望者も増えてきました。こういう子供たちをしっかり育てれば、いい選手になるのではないかと期待しています。
教室を始めて、時間がなくなり、それまで暇に過ぎていたと痛感しています。なかなか簡単にはいきませんが、これからも子供たちを見守っていこうと思っています。
(囲碁棋士九段)(おわり)