岡目八目
(3)子ども大会からプロ輩出
(寄稿連載 2008/10/06読売新聞掲載)子供の大きな囲碁大会を手がけることになるとは夢にも思っていませんでした。1996年、緑星学園の主宰者でアマ囲碁界のリーダー、菊池康郎先生が東京で子供大会を立ち上げました。それがそこそこ成功したので、「全国組織に広げたいから協力してほしい」と、打診があったのです。30年ぐらい前、菊池先生は大阪などでのイベントに参加した際、いつもぼくの家に泊まっていたんです。年齢は離れているけれど、不思議に気が合ったんですね。もちろん、二つ返事でした。
すぐに「全国子ども囲碁普及会」を設立しました。日本棋院中部総本部の馬場滋九段は当初からの主力メンバーの1人です。翌97年、第1回全日本子ども囲碁大会を東京と大阪で開きました。参加者は東京約400人、大阪約200人で、井山裕太くん(現八段)の優勝でした。
第2回大会は中部と九州地区が増えて4か所になりました。ここで接着剤の大手企業が協賛してくれるようになり、第8回大会から冠名がついています。第3、4回大会あたりから「ヒカルの碁」効果があったことを実感として受け止められました。昨年の第11回大会は、地方大会14、参加者7000人と急成長を示しています。
現在の若い棋士はほとんどがこの大会に出場しています。歴代の優勝者の中から、井山八段をはじめ、三根康弘二段(第4回)、玉井伸二段(第6回)、金沢真初段(第8回)らのプロ棋士を輩出しています。また、全国大会の成績優秀者を4、5人ずつ外国へ派遣、交流してきました。中国1回、韓国、台湾3回です。
(関西棋院九段)