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岡目八目

読売新聞 2006/08/28掲載
村上栄昭さん

(4)「ゴランティア」一期一会(寄稿連載)

 「ゴランティア」。何のことか分かるだろうか。因島に宿泊している人から依頼があれば、我々が出向いて無料で対局の相手を務める。これがゴランティア。碁とボランティアをミックスさせた造語だ。
 出張などで訪れた人はよく、対局の相手を欲しがって宿泊施設に相談する。それをヒントに1995年から始めたのが「お楽しみ囲碁交流事業」。各施設に協力を求めたが、どこも好意的で感謝している。
 現在はゴランティア約180人が登録、客が希望する棋力の人を派遣し、夕食後などに1、2局打つ。そんな“囲碁の出前”はなかなか好評で、今では年間50〜60件、延べ300人前後の利用がある。
 初めのころは手探り状態だった。客から食事に誘われると「むげに断るのは失礼かも」と同伴したこともあった。しかし経済的にも体力的にもきつく、現在は対局だけで交流している。
 子供からの依頼もある。漫画「ヒカルの碁」で本因坊秀策の生誕地と紹介されて興味を持ち、親にねだって訪れるのだ。これには困った。子供には子供を派遣するのが理想的だが、夜は外出させにくく、付き添いも必要。そこで女性に頼むことにした。ソフトな物腰の女性なら子供も安心するからだ。
 この事業が知られるにつれて団体客が増えてきた。北海道、東京など遠方からも来る。「大人数で楽しむなら因島が最適」と評価されたのだろう。最も多かった団体は62人。うち60人が我が方の60人と互先で2局ずつ対戦したが、結果はなんと60勝60敗。親善交流としては最高の結果となり、忘れがたい思い出だ。「一期一会」という言葉が好きなのだが、その重みを今更ながら実感している。
 因島市は今年1月に尾道市と合併し、「囲碁のまちづくり」のエリアが広がった。当然、事業の対象となる宿泊施設も増やさなければならない。大変だと思うが、新たな目標ができて励みにもなっている。
(広島県因島囲碁協会長)
(おわり)
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