岡目八目
(2)院生からプロへの狭き門
(寄稿連載 2010/1/30読売新聞掲載)安藤先生(武夫七段)の内弟子になってすぐ、小学5年の5月に院生となり、土曜と日曜の週2日、日本棋院へ通うことになりました。院生は55人おり、私に初めて付けられたランクは56位でした。
研修日以外は内弟子生活です。学校に行く前の棋譜並べから始まり、下校してからは対局、検討、棋譜並べなど充実した勉強ができました。内弟子修業のありがたい点は、遊びたくなっても一緒にいる内弟子が隣で勉強していると、自然に碁盤の前に座ることになることです。
毎日が碁漬けの依田さん、同年輩で私より少し後に内弟子になった真面目派の趙さん(善津九段)などに鍛えられ、また、安藤先生ご夫妻の愛情あふれる指導など、よい環境に恵まれ14歳で入段、プロとなり、院生を卒業しました。
院生時代は4年余りでしたが、時を経て今は私が院生を指導する立場になりました。
私が師範になった3年半ほど前は、「ヒカルの碁」の影響も残っていたのでしょうか、院生の数は100名を超えていました。現在は70名ほどです。この中から入段できるのは、年に3、4名ですから、大変な狭き門です。
院生は年齢制限があり、原則として17歳、高校2年の3月までです。それまでに入段できないと、"卒業"になります。ただし、プロへの道が完全に閉ざされたわけではなく、22歳までは「外来」の資格でプロ試験を受けることができます。
院生のクラス分けは、最上位のA以下Eまで5クラス。現在は最年長の17歳から下は8歳(2名)まで。女性も10名ほどいます。
(囲碁棋士九段)