岡目八目
(4)世界で勝てる若手育成を
(寄稿連載 2010/12/14読売新聞掲載)近年、日本は中国、韓国に後れをとっています。これに追いつき、追い越すには若いうちから鍛えることが重要です。院生研修の充実はもとより、若手の育成強化に力を入れなければなりません。
このような趣旨から今年3月、酒井真樹師範が引率し、初めて院生約10人を中国に連れて行き、中国の若手と交流戦を行いました。子供の頃からこのような経験を積むことは大事だと思います。
8月には、日本棋院の特別企画で、藤沢里菜初段(12歳)、一力遼初段(13歳)、中部総本部の伊田篤史二段(16歳)の3人が北京へ4日間、強化遠征を行い、貴重な経験をしました。
ここで一言触れておきたいのは、日本から若手が訪れたとき、中国は孔傑九段、古力九段といったトップ棋士が、子供たちの碁を見て講評してくれたことです。大変ありがたいことだと思います。中国ではトップと若手の交流が、常時行われているそうです。
実は3年ほど前から、院生研修では、師範だけでなく、一流棋士にも定期的に指導を受ける機会を設けています。ところが、実力のある院生ほど積極的に教えを受ける姿勢が見られません。自分の考えに固執しているように見受けられます。自信を持つのはいいのですが、プロ棋士の直接の指導から、碁の奥深さを感じとって欲しいです。
私の願いとしては、中国のように、棋士と院生の交流が盛んになってほしい。ネット対局という方法もありますから、交流の場が増えれば、院生の育成にも一段と効果が上がることでしょう。
(囲碁棋士九段)(おわり)