岡目八目
(1)99歳 囲碁と歩んだ人生
(寄稿連載 2015/04/28読売新聞掲載)◇ぬまやま・すけない
3月をもって99歳となりました。
棋力の方は一応、日本棋院から8段の免状をいただいており、若い方々との対局がなによりの楽しみです。青森県内ではまだ強豪のうちに数えてもらっているようです。
1月に八戸市で第39期棋聖戦第2局が行われた際、その前夜祭でご紹介をいただくという光栄にあずかりました。井山裕太棋聖と山下敬吾九段の対局にも大きな感銘を受けました。同行棋士の先生と指導碁の機会もいただき、とても充実した3日間を過ごさせていただいたことに感謝しております。
県や農協の職員、八戸市の北に位置する東北町の議員と町長を務め、現在は社会福祉法人の仕事に携わっております。
囲碁との出会いは県庁に入った24歳の時です。知人から手ほどきを受け、すぐにその面白さのとりことなりました。ゲームとしての品の良さが、とても魅力的に映ったのです。
しかし翌年、戦争に召集され、満州(現中国東北部)や福岡に配属となりました。囲碁から離れる生活となると思ったのですが、実は戦地にも碁盤があり、少ないながらも碁を打つ機会があったのです。
隊の中にも囲碁好きの人がいましたから、時には部隊長の前で碁を打ったこともありました。恥ずかしいやらうれしいやらで、なんとも複雑な気持ちでしたが、上官から目をかけてもらえるようになったことは事実です。
戦後の仕事でも、囲碁に助けられたことが何度もありました。私のこれまでの人生は、囲碁とともにあったと言って間違いありません。
(青森県東北町在住、アマ8段)