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岡目八目

読売新聞 2006/06/26掲載
大淵盛人さん

(4)近い将来のW杯実現も夢(寄稿連載)

 我が家では、子供たちは毎朝5時に起床します。当初は6時だったのですが、自分たちで決めて早めたようです。まず、身の回りの整理整頓をし、家の掃除をし、それから学校に行くまでの時間に碁盤に向かいます。私の時代もそうでしたが、内弟子の部屋にはテレビや漫画、パソコンはありません(師匠の私はテレビを見ていますが)。真剣に勉強するにつれ、自然とそうした遊びには、頭がいかなくなるのです。
 ただ、手合の翌日は休養日とし、心身共にゆっくり過ごしてもらっています。囲碁以外には、私は子供たちに質の高い読書をすすめています。週に数回は、近くに山がありますので、皆でハイキングに行きます。こうした生活の中で、気が合わずに取っ組み合いの喧嘩(けんか)をしていた子供たちも、不思議なことに、あるときから仲がよくなります。上の子供たちは下の子供たちの面倒をよく見るようになります。子供たちは、自主性や社会性も身につけていくようです。
 内弟子をとり始めた平成12年から、私は、日本棋院の院生師範もつとめています。プロを目指す院生は、現在100人ほど。師範4人では行き届かないことが多く、教えることの難しさを実感していますが、悔いの残らぬよう今できることに精一杯取り組もうと思います。子供たちに高い志を持ってもらうためなら、いくらでも彼らの踏み台になるつもりです。そして、私も一棋士ですから、成長した彼らを追い抜き返したいと思っています。彼らと共に、自分も磨かれていきたいという気持ちが根底にあるのかもしれません。
 子供たちには、世界一を目指して欲しいと思っています。韓国や中国と真剣勝負を繰り広げることで、囲碁界全体が盛り上がり、互いにさらなる向上を目指すよい循環が生まれます。そういうことが、世界平和にもつながると思うのです。近い将来、囲碁のワールドカップが実現することも、私の夢の一つです。
(囲碁棋士、九段)
(おわり)
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