岡目八目

小川誠子さん

小川誠子さん

(3)信頼が紡ぐペア碁の魅力

(寄稿連載 / 2009.02.23読売新聞掲載)

 1月31日、プロ棋士ペア碁選手権戦の決勝戦が行われました。大盤解説会で、石田芳夫二十四世本因坊の聞き手をするべく壇上に上がると、立ち見を含め1300人近くの囲碁ファンが来て下さっていて、その熱気に圧倒されました。

 組み合わせは、謝依旻(しぇいいみん)女流本因坊・井山裕太八段の19歳フレッシュペア対加藤啓子女流最強位・羽根直樹本因坊のタイトル保持者ペア。

 内容は、波乱万丈で、素晴らしい手筋が随所に出て、決勝戦に相応(ふさわ)しい大熱戦となりました。

 難解な半目勝負が揺れ動く中、勝利の女神は、加藤・羽根ペアに微笑(ほほえ)みました。両ペアに会場から割れんばかりの拍手が贈られました。

 ペア碁には、一対一の個人戦とはまたひと味違う魅力があります。思いやりの心、信頼の心など、様々な心もペア碁には強力な味方です。大事なのは片方が悪手を打ったとき。動揺したり、怒った雰囲気を出すと萎縮(いしゅく)してしまいます。

 大丈夫! と、安心感を与える心の余裕や優しさが、ペアの実力以上の力を生み出すことも多々あります。ペアの打つ手を信頼する心が大切です。

 優勝インタビューで、羽根さんが「加藤さんの打つ手を信じていました」と、答えていたのが印象的でした。

 なぜか、強い人とペアを組むと、強くなった気分になれるのもうれしいことのひとつ。私も、プロペア戦に出場した際、そんな気分を味わいました。「今、不調で……」と悩んでいる方は、好調の方と組んでペア碁を楽しまれたらいかがでしょうか?

(囲碁棋士六段)