岡目八目

小川誠子さん

小川誠子さん

(4)囲碁でアンチエイジング

(寄稿連載 / 2009.03.02読売新聞掲載)

 「囲碁を覚えて本当に良かったわ。楽しくって、今、夢中なの」と、目の前でほほ笑んだチャーミングな女性は、なんと101歳。

 「94歳の時、どうしても囲碁を覚えたくなって」。なんという前向きな言葉なのでしょう。「すごい!」と思わず声が出た私でした。

 今、アンチエイジングという言葉をよく耳にします。もちろん私も関心があり、目が吸い寄せられている一人です。ほんのりとピンク色の肌。ほがらかで、年齢を感じさせないお手本のような女性。これは生の声を聞くチャンスです。早速、若さの秘訣(ひけつ)をお尋ねしました。

 「私は好奇心が強いのよ。色々なことに挑戦してきたの。そして、なるべく続けてきたわ」。お聞きしただけでも、お茶、小唄、踊り、裁縫――。歩くことも日課にしていらっしゃるとか。

 「あなたの服、素敵ね。どこで買ったの? 私の服もなかなかでしょ。興味がわくことばかり、これも好奇心ね」とニッコリ。戦争も経験して大変な事も多かったけれど、どんな時でも感謝する気持ちは大切にしてきた、といいます。「今は一緒に住んでいる大事な家族に、なるべく迷惑をかけないよう、身体も脳も元気でいたいの。そんな私に囲碁は最適ね。碁を通して良い方と大勢出会っているし、もうやめられないわ」

 さて、この女性との対局ですが、好奇心一杯のお人柄がにじみ出て、伸び伸びした楽しい内容でした。人生の達人と出会い、私も幸せな気分。そして囲碁はアンチエイジングに役立つと、強く認識しました。

(囲碁棋士六段)(おわり)