岡目八目

大橋憲昭さん

大橋憲昭さん

(2)園児・高齢者に入門教室

(寄稿連載 2019/08/07読売新聞掲載)

 谷中、汐見教室の最大の特徴は、小学校と地域住民が連携していることである。火・土曜日は谷中小学校、水曜日は汐見小学校で合わせて週3回、地域の施設を利用し実施している。

 毎年5月に谷中コミュニティ祭りが開催され、その一環として「台東区こども囲碁大会」を催し、今年で24回目になる。近年は100人前後の参加者があり、入賞者は区長、小・中学校長、地元議員の皆さんが見守る中、表彰される。囲碁を通じて、地域・学校・住民のコミュニケーションが深まっていくのが嬉(うれ)しい。

 台桜・根津・柳町の各幼稚園では、年2回入門教室も行われる。平素じっと座っていられない園児が時間を忘れて石取りゲームに熱中。「知らないことを覚えられるのは楽しい」と、目を輝かせて話してくれる。

 小・中学校では生涯学習の一環「のびのび算数・数学クラブ」でも教えている。大石を取られても、「命まで取られるわけじゃない。次は取られないように頑張ろう!」と自分を励ます。

 負けて悔しがり、あの手この手を考え、対局で得たものを糧に成長していく姿を見るのが楽しみだ。

 また、上野中学での囲碁部活動も約20年を経て、着実に成果が出てきている。2018年の中学校団体戦に出場し、東京都代表となって全国大会に出場するまでに成長した。

 一方、台東区老人福祉センターからの依頼で、09年から60歳以上のお年寄りに月2回入門教室を開講した。皆さん楽しく向き合ってくださり、80歳から始めて各種大会に参加する人も出てきている。囲碁を始めた方々はおしなべて元気になり、若返っているようだ。

(台東区囲碁連合会会長)