岡目八目
(4)義務教育で囲碁 実現を
(寄稿連載 2019/08/21読売新聞掲載)幼稚園で入門教室を行っていることもあり、園児の入門者が増えている。初めて碁石を持つ子供たちには、「石取りゲーム」からスタートさせる。相手の石のタテとヨコを囲むことから始めると、3歳くらいからでもスタートできる。
“当たり”を十分理解した段階から、“陣取りゲーム”に入って、囲碁の始まりである。
教室で教えることはこの二つだけで、教えすぎないようにして対局を中心にしている。子供たちは対局を重ねるうちに、自分で学ぶ力を付けてくる。「対局ラーニング」である。
囲碁のルールは簡単であるが、打ち方はまったく自由であり、変化が多く奥が深い。石を取られて泣きながら打つ子、勝つために必死に打つ子など様々である。しかし、このように年少時から、手数の長い囲碁を一局打ち終えられることは、素晴らしい。忍耐力、精神力が鍛えられ、本人の自信につながっていくようだ。
教室では、段・級に対応するランク表を作成し、成績によって上がっていくシステムを採用している。これによって、各自がある目標を持って対局するようになった。
囲碁の効用は様々語られているが、〈1〉考える力(思考力、大局観)〈2〉集中力と判断力〈3〉礼儀(始めと終わりのあいさつ)等々、情操教育には最適だと自負している。
韓国では子供の囲碁が盛んで、受験のために囲碁を習わせるほどである。また中国では「琴棋書画」の言葉通り、「棋」すなわち囲碁が学校で教えられていると聞く。日本でも“小・中学校で囲碁”が実現する日を期待したい。
(台東区囲碁連合会会長)(おわり)