岡目八目

佐藤尚次さん

佐藤尚次さん

(2)大学リーグ戦 独特な空気

(寄稿連載 / 2014.04.15読売新聞掲載)

 私が東京大学に入学したのは1975年で、関東リーグ戦とのご縁は間もなく40年になります。

 高校時代に旧高校選手権戦の全国大会に出るなど下地はありましたが、棋力としては二、三段。それでも大学囲碁部でやれることに妙な高揚感がありました。

 勉学や進路などには正直不安はあるものの周囲には平気なふりをして、という若者でしたが、根を下ろす場所があっただけでも大いに助けられたと思います。

 大学の囲碁部は高校とは大違いでした。OBの方もよく見えますし、未成年でも大人のたしなみに走ることにもおおらかな雰囲気でした。今となってはつぶさに書きづらいことも多々ありますが、ご賢察下さい。

 最近は初心者でも問題なく馴染(なじ)めると前回記しましたが、当時はある程度の精神的自立性が必要だったのではないでしょうか。

 1年時の春季リーグ戦は東大経済学部の地下演習室が会場でした。当時は一般の部が7部まであり、その他に女子部が3部まであったと記憶します。連盟の長い歴史のなかでも、参加校数は最盛期であったでしょう。

 試合が始まると、至るところから紫煙が立ち上り、空気が張り詰めて、会場は一種独特な空気に包まれます。もちろん女子部は清潔、和やかでしたが。

 ひげ面で、多分、ふだんは身のまわりのことなども無頓着であろう選手たちが、眼光鋭く盤面をにらみつけ、殺気を帯びてくる。真面目な高校生とは対局ポーズもぼやきも違う。一瞬、おそれを感じたものの、すぐに引き込まれました。

(関東学生囲碁連盟会長)