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岡目八目

読売新聞 2010/06/15掲載
塩崎泰朗さん

(3)子供には説明より体得を(寄稿連載)

 ◇しおざき・やすあき
 囲碁人口の減少に歯止めがかからないのは、中年層、若年層の参入があまりにも少ないためです。「そんなことはない。ヒカルの碁ブームがあったではないか」。多くの皆様が、そう反論するでしょう。
 しかしそれは一時のブームであって、とうとうたる大河となって、構造的変化を巻き起こすまでには至りませんでした。囲碁の魅力をPRし、ブームを定着させるべく、我々を含めて関係者の努力が足りず絶好のチャンスを逃がした、と言わざるを得ません。
 お隣の韓国や中国をうらやましく思うこともありますが、日本のような多様な価値観に彩られた成熟国家で、学校や地域社会を大きく巻き込んでの運動を起こすことが、いかに難しいことか。
 筆者の営む小さなサロンに通う子供の母親が訪れ、「進学のため、囲碁教室をやめさせたい」と切り出されたことがあります。進学という大義名分を持ち出されては反論できず、「今は勉学に集中しても、せっかく覚えた囲碁を将来の宝に」と言うのが精いっぱいでした。
 子供たちから脱落して行くこともあります。チェスや将棋のような明快な単一ルールでなく、石取りと地取りが微妙に絡み合った囲碁は、その本質と玄妙さを理解する最初のハードルでつまずくためでしょう。
 大石を取ったにもかかわらず、相手に締め付けられ、一等地を確保されて大敗。不思議そうな顔をするその子に、石の効率と手割論を説明しても、キョトンとするばかり。何人かの友人から「説明してはダメ。体得させなければ」――と。未熟な小生、反省するばかりです。
(囲碁同業組合事務局長)
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