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岡目八目

読売新聞 2009/09/08掲載
高尾紳路さん

(2)早朝の電話講評に緊張(寄稿連載)

 ◇たかお・しんじ
 藤沢秀行先生に入門して間もなく、お宅に棋譜を送り、折り返し電話で講評を受ける勉強が始まりました。大変ありがたいことでしたが、先生の朝は早く、まだ寝ているうちに電話が鳴ることもあります。寝ぼけて出ると怒鳴(どな)られますから、小学生の身としては相当緊張しました。
 母も、先生からの電話に出ると緊張でのどが渇く、というほどでした。したがって電話に出るときは心構えが必要で、そのため電話機の着信音に秀行先生用をひとつセットしました。
 講評は10分から15分ほどですが、大体の意味は理解できました。
 小学5年になった頃は、川崎のご自宅での月1回の研究会に参加させていただくことになりました。10名ほどの研究会ですが、関西棋院の若手も常に2〜3名が日帰りで参加しており、その熱意に心うたれる思いでした。
 先生は研究会の時は、酒は全く入っていませんでした。それほど研究会に熱意を持っておられました。
 先生は生涯を通じて若手に勉強の場を与え、鍛えてくださいましたが、若者が好きだったのでしょう。先生創作の詩集「秀行こころのつぶやき」の中に、若者を鼓舞する熱い一編がありますので、紹介させていただきます。
 「君たちは君たちの熱い熱い情熱があるはずだ もし君たちが碁打ちだとしたら、すでに熟達せる老練の碁を模倣する必要はない すべてのことに、君たちは君たちの生命を どこまでもどこまでも 伸ばしていかなくては 君たちの生命が滅びてしまう 君たちは大いに戦わなくてはならないのだ」
(囲碁棋士九段)
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