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岡目八目

竹澤秀実さん
読売新聞 2012/06/26掲載
竹澤秀実さん

(4)時代の変化 囲碁界にも(寄稿連載)

 ◇たけざわ・ひでみ
 時代の変化は囲碁界にも押し寄せてきました。世界トップの座に君臨していた日本碁界でしたが、中国の聶衛平(ジョウエイヘイ)九段が登場するに及び、雲行きがにわかに怪しくなりました。その後、韓国の李昌鎬(イチャンホ)九段が世界戦を総なめにした頃から、日本と中韓の立場は入れ替わり、日本は後塵(こうじん)を拝することになります。
 碁会所をのぞくと、異様な光景が目に入ってきました。お客さん同士は打たず、壁際に備え付けてあるパソコンでネット対局を楽しんでいるのです。このネット対局、本作りにとって予想以上に怖い存在となりました。すでに「活字離れ」が叫ばれており、追い打ちを掛けられたような気分でした。
 チェスの世界チャンピオンがコンピューターに敗れたニュースは世界をあっと言わせました。人間が開発したものが人間を脅かす時代がやってきたのです。
 次なるターゲットは将棋、囲碁に向けられました。少し前まではアマ二、三段のレベルだったのが、県代表クラスにまで腕を上げてきているようです。
 近い将来、人間に追いつくのは必定と見ていいでしょう。科学技術の進歩の結果とはいえ、敗れたゲームはその存在感を失うという現実も念頭に置いておかねばなりません。
 大きな変化の中で、「月刊囲碁」はその役割を終えたと実感するに至りました。雑誌、書籍の刊行に追われ、囲碁の底辺拡大に力を尽くせなかったことが、今は悔やまれます。大震災からの復興、活字文化の見直し、囲碁ファンの増加を願いつつ、ペンを置きます。
(元「月刊囲碁」編集長)
(おわり)
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