岡目八目
(3)弱い人も楽しめるように
(寄稿連載 2017/09/05読売新聞掲載)僕は友人に囲碁を教える時には、「ルールが分からなくてもいいから、囲碁クエストを500局打ってくれ」と勧めています。自分がこのアプリでの実戦を通じて囲碁を覚えたということもありますが、囲碁は説明をしすぎると、難しいゲームのようにとらえられてしまう気がします。
囲碁クエストでは、弱い人たちでも楽しめるように気を配っています。サーバーで対戦相手を見つける時も、最初は弱いソフトと対戦させて、訳も分からずに勝ってしまうようなところから始めるんです。
対戦を拒否する仕組みがなく、自動で対局を組むので、対戦相手がすぐに見つかるのも特徴です。インターネットの囲碁ではどのユーザーも勝ちたいと思っているので、細かく調整しながら、誰もが楽しめるようにしています。私自身は囲碁AIを作ることはありませんが、対戦を組む席亭も一種のAI。その機能を強化することに、今は力を入れています。
19路盤の対局は時間がかかりますが、9路盤、13路盤を中心にしているのも、手軽さの理由でしょうか。9路盤であれば、一局あたり平均5分ぐらいで終わります。利用者が多いのは、昼休みや夜です。日本人はきっちり昼休みをとるせいか、正午になると数百人単位で接続する人が増えます。夜の方が時間に余裕があるのか、13路盤を楽しむファンが増えますね。
19路盤の碁に慣れている人には信じられないかもしれませんが、私は最初、9路盤だけを打っていたので、13路盤は無限に大きく見えました。9路盤よりも布石を楽しむ広さがあるのが、人気の理由でしょうか。
(フリーライター)