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岡目八目

読売新聞 2007/10/01掲載
谷岡一郎さん

(1)宇宙人とプレーできるゲーム(寄稿連載)

 ◇たにおか・いちろう
 問題をひとつ考えてみてほしい。「いつの日か、UFOがやってきて、宇宙人とコンタクトしたとき、宇宙人と地球人が共通にプレーできるゲームがあるとすれば、それは何か?」
 答えの一つは「囲碁」。むろん19路盤の日本ルールとは限らないが、両者が楽しく競技できる可能性が高いのは、囲碁なのである。理由は、ゲームの進化を論理的に追究していけば、ほぼ同じルールに行きつくだろうからだ。それほど囲碁のルールとゲーム自体の競技性、そして面白さは、完成された一つの極に位置すると考えているのである。
 ただし、これは私個人の勝手な意見であって、異論や反論はあると思う(大学に反論をいっぱい送ったりなさいませんように)。宇宙人のゲームの中には、将棋やトランプと類似のゲームもあると思う。しかしこれらは最終形としてのルールの極は不明であり、多分同じもの(似たもの)ではないだろう。
 私はいわゆる碁キチ(これは差別用語ではなく、褒め言葉です)。日本で、そして恐らく世界で一番囲碁の好きな学長だと、自称しているほどである。ただしあまり強くはなく、残念ながら一番囲碁の強い学長というわけには、まあいかんだろうなぁ。
 囲碁はすべての情報が開示された実力のゲーム。専門用語で「完全情報ゲーム」と呼んでいるが、あまり単純すぎるゲームは100%の解析が可能となる。つまり必勝法があるため、面白くないのである。ところが、ルーレットやダイスのように運の要素が介入するゲームは、可能性は計算できるが、必勝法はない。例えば、次に出るダイスの目は、どれも6分の1でしかないわけだ。
 宇宙人がプレーできるゲームには、ルーレットに酷似したものや、6面体のサイコロを使った運のゲーム、つまりギャンブル・ゲームも多分あるだろう。あるだろうけど、宇宙人の通貨をもらってもしようがないじゃないの?やっぱり囲碁がええだろな。
(大阪商業大学学長)
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