岡目八目

所雄章さん

所雄章さん

(1)学生囲碁界見守り四半世紀

(寄稿連載 / 2005.05.16読売新聞掲載)

 ◇ところ・たけふみ

 東大名誉教授、石川吉右衛門先生から「関東学生囲碁連盟」(以下「連盟」と略称)の会長を受け継いだのは、昭和五十五年のこと(因(ちな)みに、「連盟」の初代会長は一橋大の故中山伊知郎教授)。当時は、「連盟」の会長は全日本学生囲碁連盟(以下「全日本」)の副会長となるという規約があって、「全日本」の副会長をも兼務したが、その時以降約四分の一世紀の間その角度から見守りつづけてきた学生囲碁界の模様を、ご紹介する。

 まず「連盟」であるが、「連盟」は関東一円の(その加盟校の)大学の学生たちのための各種棋戦の運営をする組織であって、代表幹事と会計幹事と(原則は三年次生)を中核とする数名の学生幹事によって(箱根駅伝には及びもつかぬが)、いわば自主的に運営される。代表幹事の選出は、前幹事の推薦と(形式的にそれを追認する)会長の指名による。年二回(春秋)のリーグ戦の運営が幹事の最主要な仕事、特に会場の選定がまずは代表幹事の大仕事。課外活動の一環ということで、いずれかの大学の教室を(無料で)借りるのだが、以前の教室には普通、二人か三人用の長机の前に移動可能な椅子(いす)が置かれていて、その机に置いた板の碁盤を真ん中に対局者が相対するように、会場を設営することが可能であった。

 しかし、やがて机も椅子も固定された教室が一般的になって、棋戦の会場には不向きな大学がやたらと増え、勢い同じ大学に教室の借用を繰り返し申し込むことにもなる。けれどもそうなると、「前回貸した時の後始末の掃除が不行き届き」とか何とか、文句が付いて(そんなことはない、私が後始末の具合は見確かめてあるのだが)、貸してくれない場合も起きる。代表幹事が申し込みにゆく際、依頼を受けて、同道したことも二度や三度ではない。以上、話が「連盟」の仕組みにのみ終始したが、是非とも学生囲碁界の活動を支える裏方へのご理解を、と考えたからである。

(中央大学名誉教授、前全日本学生囲碁連盟副会長)