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岡目八目

アンティ・トルマネンさん
読売新聞 2016/07/19掲載
アンティ・トルマネンさん

(4)勝敗より有意義なものが(寄稿連載)

 プロになって初めての公式対局はあっけなく負けてしまいましたが、これからどんな対局ができるだろうと自分でも楽しみにしています。
 対局してみたい棋士は大勢います。一番はやはり井山裕太先生。年齢がほとんど一緒なのです。それから、大先生の趙治勲名誉名人と武宮正樹先生です。趙先生と武宮先生との対局は、組み合わせの運がよければ可能性があるかもしれません。でも井山先生は大変そうです。
 私が思う囲碁の魅力はたくさんあります。
 盤面の外では、囲碁を通して仲良くなれること。一局打てばもうすでに友だちになっている感じがあります。毎年、欧州で開催されている「碁コングレス」は、大会や講義などが2週間にわたって行われるイベントで、私も何度か参加しました。囲碁を打つ人が何百人も集まるので、大きな家族のようになる温かい時間です。
 盤面の中では、囲碁が「手談」と言われるように、相手が何を目指しているかを推察し、こちらからいろいろ尋ねていくところが楽しいと思います。
 この二つが囲碁を好きな最大のポイントです。もちろん囲碁は勝負を争うのですが、大きな視点で考えれば、一局の中で、勝ち負けよりもっと有意義なものを得られるところがあると感じています。
 将来は欧州で囲碁の普及に携わることになるでしょうし、そのことに価値があると思っています。ただ、しばらくは日本で囲碁と文化を勉強していきたいと思います。先のことはまだ考えず、今は一歩一歩進んでいこうと思います。
(囲碁棋士初段)
(おわり)
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