岡目八目
(2)囲碁の普及に「社会人大会」
(寄稿連載 2011/06/07読売新聞掲載)余暇開発センターの「レジャー白書」によると、日本の囲碁人口は一九八四年から現在までに八百万人以上も減少している。若者の囲碁離れが原因でしょう。若者が囲碁を打つ環境をつくらねば駄目だという思いが募りました。
一方、企業では若者の精神疾患が非常に増えています。心理サポートを扱うコンサルタントへの相談者が、ここ十年で百倍になっていると聞く。これもまた目をそむけてはならない大問題です。
昔は、厚生課という立派な組織がどこの企業にもあったが今はない。あったとしても小さなグループで、アウトソーシングとかで外に出されているケースも多い。人間の根源に関わる部分を外部に任せてうまくいくわけはないでしょう。従業員の連帯感、絆の強化がなされれば、この問題もかなり解消されるのではないか。早道は企業内の部活を復活することだと考えたのです。
試みに、上場企業上位三百社の社長宛てに「部活復活についての賛否」をアンケートした。大半は無視されたが、中には「賛同」を寄せてきた大企業もある。そうだ。そういう企業を一社、また一社と増やしていけばよいのだ。部活復活の一策として「実業団囲碁団体戦」を発想しました。脈のありそうな企業に次々と飛び込み訪問をしたが、現役がいない、少ないと言う企業が圧倒的。やむを得ない。OBも含めた「社会人大会」に切り替えることにしました。
大会の参加者は、第1回が四百五十人。第2回は七百五十人。第3回の今年は千人突破が目標です。二千人、三千人と増やし、世界一の大会に育てたい。
(いずみ囲碁ジャパン社長)