岡目八目

内久根孝一さん

内久根孝一さん

(4)教育現場に囲碁を推奨

(寄稿連載 / 2011.06.21読売新聞掲載)

 私は「碁は幾何学だ」と思っています。石を一つ置いただけで盤上の景色はガラリと変わる。幾何学で補助線を立ててみるのと全く同じです。

 「娯楽にすぎぬ」と冷笑される方もいるだろう。「教育には無縁だ」と語った学者もいます。しかし、羽生善治名人は著書の中で「将棋は幾何学だ」と書いている。将棋も娯楽だが、日本最強の頭脳の言葉には誰も反論できないでしょう。囲碁は計算力、集中力、忍耐力、創造力も養う。これを教育現場に取り入れない手はない。身の回りから始めてみることにした。

 孫が幼稚園に入園したのを機に、囲碁を推奨すると、「もうやってます」と園長先生。なんとアマ指導者として知られる山下功さんが熱心に教えていたのです。頭が下がる。その影響で他の幼稚園でも囲碁を始めたといいます。

 次は小学校。私の出身校の東京都大田区立池雪小学校に向かいました。公立ではすぐに正課というわけにはいかず、「課外授業か部活に」と提案しました。アウトドア派だという校長先生に「サッカーなら子供は黙っていてもやります」と苦心の誘い水。同小は今や囲碁部員50人。都内トップクラスの規模です。

 そして高校。故郷、長野県の上田に、不登校、引きこもり生徒の教育に携わる「さくら国際高校」があります。「碁を始めたら皆学校に来たくなります」と説得すると、正課に取り上げてくれました。

 失敗談はこの何倍もあります。しかし、授業としての囲碁の基礎をあちこちで作っていけば、必ず成果が表れる日がくると思っています。

(いずみ囲碁ジャパン社長)(おわり)